ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米国大統領は1月9日、ジャック・マー(Jack Ma)=アリババ(ALIBABA)創業者兼会長およびベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)会長兼最高経営責任者(CEO)とニューヨークのトランプタワーで会談した。
マー会長との会談には、マイケル・エヴァンズ(Michael Evans)=アリババ社長も同席し、主に雇用について話したという。マー会長は「アリババで商品を販売することにより、いかにわれわれがアメリカで100万規模の雇用を生み出し、中小企業や若者をサポートすることができるかを重点的に話し合った。また、アメリカの農産物だけでなく、衣料品やワインのアメリカからの輸入を強化していく。米中関係の改善についても意見を交わした」と語る。トランプ次期大統領は「とても有意義な対談だった。マー会長は世界有数の実業家で、アメリカのことも中国のことを愛している。共に素晴らしいビジネスを手掛けるつもりだ」とコメント。トランプ次期大統領は選挙活動中、中国を「為替操作国」と批判したり、関税を45%まで引き上げると警告するなど、強気な姿勢を取ってきた。また、マー会長は昨年、今後10年でアリババのビジネスの約4割が海外事業になると予測した。さらに、20年でユーザーが世界で20億人になると見込んでいる。
一方、アルノー会長兼CEOとの会談では、アメリカの工場の拡大について議論した。アルノー会長兼CEOは「カリフォルニアにある工場の拡大と、ノースカロライナかテキサスに新工場の建設を検討している。われわれは25年間『ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)』の商品をカリフォルニアで生産してきたが、その成功に伴い拡大も計画している。近いうちに実行したい」とコメント。トランプ次期大統領はアルノー会長兼CEOについて「彼は偉大な人だ。アメリカにたくさんの雇用を生み出してくれるだろう」とコメント。また、アルノー会長兼CEOはトランプ反対派の抗議活動によりビジネスに大きな影響を及ぼしているニューヨーク5番街の「ルイ・ヴィトン」の店舗について、トランプ次期大統領と話し合いたかったようだ。トランプ次期大統領がアメリカの雇用や経済についてのキャンペーンの一環で、ラグジュアリー・ファッション企業のトップと会談するのはこれが初めて。