米アパレル大手のザ・リミテッド(THE LIMITED)は全250店舗を閉店し、約4000人を解雇した。現在、オンラインストアのみ営業を続けている。
同社は昨秋に投資会社のグッゲンハイム・セキュリティーズ(GUGGENHEIM SECURITIES)と事業の譲渡や立て直しを模索していたが、破産や清算のウワサも流れていた。先月にはオハイオの本社で大規模リストラを実行し、最大248人が解雇対象になっていた。さらにここ数カ月でダイアン・エリス(Diane Ellis)前最高経営責任者(CEO)やジョン・ブエル(John Buell)暫定CEOなど、経営トップが同社を去ったこともウワサに拍車をかけている。ラリー・フルツ(Larry Fultz)エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼最高執行責任者は従業員に宛てた手紙に「商品企画のハズレや消費者のショッピング動向の著しい変化により、かなり厳しい環境に置かれている。当社は現在多額の債務を抱えている」と綴っている。また、現在公式サイトには「残念ながらザ・リミテッドの全店舗を閉鎖しました。しかしこれはお別れではありません。引き続きオンラインで買い物を楽しんでください」のメッセージが書かれている。
ザ・リミテッドは1963年にレズリー・H・ウェクスナー(Leslie H. Wexner)が設立。ウィメンズのカジュアルブランドとして多くのモールの中に出店した。その後「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA’S SECRET)」「ヘンリ ベンデル(HENRI BENDEL)」「レーン ブライアント(LANE BRYANT)」などを買収し、リミテッド・ブランズ(LIMITED BRANDS、現L BRANDS)の名の下、巨大グループに発展。子どもブランド「リミテッド・ツー(LIMITED TOO、現JUSTICE)」や「リミテッド・エクスプレス(LIMITED EXPRESS、現EXPRESS)」などオリジナルブランドもローンチした。投資会社のサン キャピタル パートナーズ(SUN CAPITAL PARTNERS)が2007年にザ・リミテッドを買収。かつて一世風靡したものの、eコマースの爆発的な成長でモールに訪れる客が激減し、最近は不振が続いていた。