デザイン・アート・建築と幅広い分野で世界的に活躍する吉岡徳仁(TOKUJIN YOSHIOKA)の展覧会「吉岡徳仁 スペクトル(TOKUJIN YOSHIKOKA SPECTRE)」が1月13日、銀座・資生堂ギャラリー(SHISEIDO GALLERY)でスタートした。
展示される新作「スペクトル」は、200個のプリズムで作られた彫刻から放たれる虹の光線が生み出す光を体験するインスタレーション。吉岡は自然と人間の関係性に着目し、“光”に関する研究を重ねてきた。2013年には東京都現代美術館の個展で500のプリズムで作った「虹の教会(RAIMBOW CHURCH)」を発表。11年に第54回ヴェネツィア ビエンナーレ国際美術展で発表した建築「ガラスの茶室‐光庵」を15年、京都の天台宗青蓮院門跡境内将軍塚青龍殿に設置し自然の光と一体化させた展示を実施するなど、独自の手法で作品を表現してきた。
11日に行われた内覧会で吉岡は「この空間に入った自分をイメージしながら、理想の空間を思い描きながら実現した。この展示を通じて、太陽の光には無限の色があると感じてもらえたらうれしい」とコメントしている。会場には特殊なガラスを用いた新作ベンチ「カタナ(KATANA)」も展示。これは、パリ・オルセー美術館の印象派ギャラリーに設置されている02年に制作したベンチ「ウォーター ブロック(WATER BLOCK)」の続きともいえる作品だ。制作過程でできる波の模様がガラスに浮かび上がるのが特徴。透明な素材を用いた作品が多いことに関して吉岡は、「透明や白の素材が光に一番近い色だと思うから」と言う。
今年4月に開催されるミラノサローネでも、SFをテーマにした新作を発表する予定だ。「作品が完成して自分が見る立場になったら、次に作りたいものを考える。毎回制作にかけられる時間は限られている。常に研究と実験、試行錯誤を重ね、プロジェクトでそれを爆発させている」と吉岡。世界的なクリエイターである吉岡の新作に触れるいい機会だ。会期は3月26日まで。
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