キャロットカンパニーが手掛けるユニセックスのバッグブランド「アネロ(ANELLO)」の口金リュックが大ヒットしている。同社は1988年に大阪で創業したメーカーで、オリジナルブランドのバッグや小物の企画・販売に加え、OEMやODMも行っている。
2005年に「アネロ」をスタートし、14年11月に口金リュックを発売。軽量で使い勝手がよく、4500円と手頃なこともあり、口コミで人気に火が点いた。16年に入りその勢いは加速し、年間でシリーズ合計280万個を出荷。口金リュックのヒットが売り上げをけん引し、16年6月期の業績は前年比倍増の88億円に上った。
そもそも口金リュックが生まれたのは、同社の雑貨ブランド「パケカドー」でポーチに口金パーツを使っていたことがきっかけだった。竹本寛・東京支店商品企画部部長は、「もともと口金リュックと同じポリエステルキャンバスとゴールドのファスナーを使ったデイパックを販売していたが、当時のトレンドを受けて新しいリュックを開発することになり、口金を応用したら面白いかなと考えた。実際に作ってみて直感的にコレはいけると感じた。
常に機能に対してリーズナブルという点にはこだわって商品開発を行っているし、デザインはシンプルなので、幅広い層に受け入れられているのでは」と話す。現在は素材や色のバリエーションを増やし、口金ショルダーバッグなどの派生モデルも開発。他ブランドとのダブルネームやコラボなども行っている。
ヒットの裏には、商品の供給体制もある。「中国の提携工場で生産していて、大量生産に対応できる体制は整っている。なので、需要が高まったときに、迅速に生産量を増やすことができた」と新富美子・東京支店MD戦略室課長。「アネロ」の商品は都市型のファッションビルや駅ビルから郊外型SCまで幅広い店舗で販売されており、消費者の目に触れる機会が多かったことも大きいという。
また、「口金リュックによって『アネロ』というブランドを知った方も多い」と考え、夏からはブランディングを強化している。7月にはブランドのウェブサイトを立ち上げ、同時に直営オンラインショップも開設。モデルの野崎萌香を起用したビジュアルやカタログを制作し、プロモーションやPR活動も本格的にスタートした。最近では女性誌だけでなく男性誌での掲載も増えている。
さらにインバウンド需要も高いことから、東アジアと東南アジアを中心に海外展開も本格化。4月には香港にオフィシャルショップをオープンした他、タイでは11月から現地パートナーと組み出店を開始し、現在SCや空港に9店舗を構える。
今後については、「現在の販路は都市圏が中心だが、海外を含めまだ知られていないエリアにも広げ、『アネロ』のファンを増やしていきたい。オンラインショップにも注力し、日本での直営店出店も視野に入れる」。
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