アーティスティック・ディレクターとしてグループの全ブランドを統括するアレッサンドロ・サルトリの「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA 以下、EZ)」と「Z ゼニア(Z ZEGNA以下、ZZ)」のコレクションが発表になった。サルトリは、2つのブランドの双方で、企業としてのゼニアに欠けがちだったスポーティーなムードを強化。「ベルルッティ(BERLUTI)」でも得意とした、生地の特性を生かしたスタイル作りは、世界最高のファブリックメーカーでもあるゼニアにカムバックしたことで磨きがかかった。前任ステファノ・ピラーティが半ば孤軍奮闘してゼニアに伝えようとしていたクリエイションの必要性を、サルトリはゼニア社を挙げて生み出し、広げていこうとするムードを感じる。「EZ」と「ZZ」は最高のスタートを切った。
ミラノでランウエイショー形式で発表した「EZ」では、メンズですっかりカムバックした印象の力強いショルダーラインを、売るためには欠かせない軽さや柔らかさを残しながら、さらにアーバンにスポーティーに描くことに心血を注いだ。ジャケット&コートは、サルトリアとしてのゼニアが本領を発揮できる力強さ。だがカシミヤとアルパカの混紡素材「カセンティーノ」や空気を含むパディングウールなどゼニアならではの最高級&最先端の素材を使用することで、水平気味のショルダーラインから生地が柔らかくドレープするフォームを完成させた。色は強いブラックやネイビーではなく、濃淡様々なグレーやブラウン、それにホワイト。フリュイドなリラックスパンツ、スキッパータイプのポロニット、それにベースボールキャップを合わせ、スポーティーなムードを強める。
「ベルルッティ」時代に学び、「EZ」が苦手とするアクセサリーの開発にも積極的だ。ハイライトは、細長く切り出し、手作業で編むのではなく、糸のように織ることで布状にしたレザーを用いたトートバッグなどだ。
一方、「ZZ」はフィレンツェのピッティで展示会形式で発表した。本社近郊にスキー場を保有し、古くから回転などのスキー競技をサポートしてきた歴史を踏まえ、フォーマルとスキースタイルの融合にチャレンジ。ナチュラル100%ながらスペック備えるテクノメリノを多用し、レトロなスキーニットにメランジュのチェスターコートやジャケットをコーディネイト。その胸元にはニードルパンチでスキーニット風のボーダーラインなどを描きアクティブにまとめた。ブルゾンもハイテク素材とテクノメリノのハイブリッド。スニーカーにもテクノメリノのニットを使い、足にフィットするアクセサリーを生み出した。「ZZ」では新たな顧客の開拓を目指し、セレクトへの卸も模索する。
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