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百貨店の売上高が36年ぶりに6兆円割れ

 日本百貨店協会は20日、2016年の全国百貨店の売上高が前年比2.9%減の5兆9780億円だったと発表した。売上高が6兆円を割るのは1980年以来36年ぶり。主力である衣料品の落ち込みが響いた。またインバウンド(訪日外国人)による爆買いが収束したことも痛手になった。地方店を中心に閉店が相次いでいることに加え、都心店も落ち込みが続いている。2017年もさらに縮小が避けられない状況だ。

 ピーク時である1991年の9兆7130億円に比べて4割近く減ったことになる。2011年の東日本大震災後、アベノミクスによる株高やインバウンド需要の増加によって、一時は盛り返していたが、15年にマイナスに転じてから再び下降線をたどっている。最大の要因は主力商品である衣料品の落ち込みだ。衣料品の16年の売上高は同5.8%減。化粧品や宝飾品、宝飾品、食品などに比べて落ち込み幅が激しい。衣料品は、百貨店の主要顧客である中間層がSPA(製造小売り)など値ごろ感のある専門店に流れている。

 地方店を中心に閉店も続いている。地方百貨店の品ぞろえでは郊外に急増した大型ショッピングセンターとの集客競争に歯が立たない。16年は西武春日部店、西武旭川店、西武筑波店、そごう柏店などが閉鎖された。17年も3月に三越千葉店と三越多摩センター店の閉店が決まっている。

 先日、日本通信販売協会が発表した15年度(15年4月~16年3月)の通販市場の売上高は、前年比5.9%増の6兆5100億円だった。アマゾン、楽天、ゾゾタウンなどのEコマースの成長がけん引し、初めて百貨店を上回った。かつて小売りの王様と言われた百貨店だが、従来型の手法で凋落に歯止めはかからず、ファストファッションや家電量販店、ニトリに代表される家具店を入れるなど、大型専門店の誘致によるテナント収入に活路を求める事例が増えている。

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