W TOKYOが企画・運営する「第24回 東京ガールズコレクション 2017 SPRING/SUMMER」(以下、TGC)と、アート東京が開催する日本最大のアート見本市「アートフェア東京2017」のコラボが発表された。日本随一の規模のファッションイベントTGCと、アジアのアートフェアの中でもトップレベルの格式と集客数(16年度開催時の来場者は約5万6300人)を誇る「アートフェア東京」は協業により、2020年の東京五輪に向けて日本国内における文化リテラシーを育むと同時に、世界に通用する日本の文化発信のためのプラットフォーム構築に向けて動き出す。
コラボの第1弾では、今回のTGCのメーンテーマである“FEMALE HERO”にちなんで特別に制作されたアート作品をお披露目する。現代アーティストの天野喜孝がTGCのために描き下ろしたイメージビジュアルを、3月16~19日に東京国際フォーラムで開催する「アートフェア東京2017」で発表するとともに、アート東京からは、韓国の若手アーティスト、クワッ・チョル(Gwag Chul)が現在制作している約2メートルの彫刻作品を3月25日に国立代々木競技場第一体育館で開催するTGCのメーンエントランスで展示する。
コラボに至った経緯について、W TOKYOの村上範義・社長は、「ファッション業界では今、アーティストとのコラボなどを通してファッションをアート化し、付加価値を生もうという動きが進んでいる。主にラグジュアリー・ブランドに見られる傾向だが、ファッションを文化として普遍化したいという思いは、リアルクローズの代名詞ともいえるガールズマーケットでも同じ。アートもファッションも、美の追求という根底にある価値観は共通している。20年の東京オリンピックに向けてアート業界の気運が高まる中、アートとファッションのコラボによって相乗効果のあるコンテンツ発信を目指す。文化に横ぐしを刺すことで、東京五輪、さらには日本の社会にとって価値のある取り組みができるだろう」と話す。
アート東京の來住尚彦・理事長は、「バラバラで存在するアートやファッション、音楽といった各分野の架け橋をどのように作るかは前々から模索してきたが、村上社長と出会い、同じビジョンを描いていることが分かった。ここまでの規模のイベント同士が組むというのは初めてなのではないだろうか。日本のアートリテラシーを上げるわれわれの取り組みに対しファッション、アート業界の人たちがどう反応するかも楽しみだ」とコメント。
アートがファッションにより深い付加価値を与えるのと同時に、「偏差値が高い」イメージの強いアート業界にとっても、ファッションとの協業はこれまでアートに触れることのなかった層に訴求するチャンスになる。TGCのメディア総露出換算額は50億円以上。イベントに関わる多くのモデルやインフルエンサーによるメディアやSNSでの情報拡散も、新たな層にアートを知ってもらうきっかけとして期待できそうだ。また、世界から訪れる「アートフェア東京」の来場者を通して、世界に向けて日本のファッションをアピールする場も設けた。限られた上顧客に配るブラックカードには今回、TGCへの来場チケットが含まれており、65カ国から来日する大使の多くもゲストとして来場することが決定している。
アート東京では、芸術作品をより身近なものとして広める活動の一環として、3月の見本市に向けて、ギャラリーに限らず、アート作品のあるレストランやカフェも含めた東京のマップを制作している。「街中がアートと化す香港のアートバーゼルのようなことを東京でもやりたいと考えていた。日本はカッコいい国なんだから、その通りに見せたい」と來住理事長。