オンワードホールディングスは2日、オーガニック化粧品の日本の販売会社であるココバイ(東京、アレックス・スッド社長)および製造会社の米イノベートオーガニクス(カリフォルニア州、同CEO)の2社の株式をそれぞれ80%取得したと発表した。取得金額は非公表。自社ECサイト「オンワードクローゼット」などでの販売を手始めに、百貨店や専門店などへの販路拡大、アジアを中心にしたグローバル展開を計画する。5年後までに売上高100億円(小売りベース)の事業規模を目指す。
2社の主力ブランド「ザ・プロダクト(PRODUCT)」は、天然由来の成分を使ったヘアケア商品や化粧品で知られる。自社独自の研究開発によって米国で製造され、日本では約1万店の美容室で販売されている。基幹商品のヘアワックスは1980円で、オーガニック化粧品としては買いやすい価格が特徴だ。
オンワードは自社ECサイトだけでなく、顧客を組織化した「オンワードメンバーズ」を通じて消費者に直接紹介したり、ファッションで築いた百貨店や専門店へのネットワークを活用したりすることで、新しい接点を広げる。ファッションの既存ブランドの売り場の一角でも販売する。
オンワードはすでにダンス用品のチャコット、ペット服のクリエイティブヨーコ、自転車店のサクラなどを買収するなど、事業の多角化を進めている。化粧品事業を加えることで、ファッション事業との相乗効果を期待する。
一方で同社は既存のファッション事業の見直しも進めている。シンガポール発のシューズ&バッグブランド「チャールズ&キース」の全14店舗を昨年末までに閉店させ、今春以降はECの販売に絞る。子会社キャンデラインターナショナルは、主力セレクトショップ「クルーンアソング」全15店舗とオリジナルブランド「キッカザダイアリーオブ」全5店舗を今月いっぱいで閉める。ニューヨーク発のセレクトショップ「オープニングセレモニー」は新宿ルミネ店が1月末で、名古屋店と大阪店が今月末で閉店し、国内店舗は表参道店のみになる。
大手アパレルでは構造改革に一応のメドをつけたTSIホールディングスも昨年、イスラエル発の自然派化粧品「ラリン」を販売するラリンジャパンを買収した。衣料品で培ってきた商業施設とのネットワークを武器に、今年は10店舗の出店を計画する。「化粧品は営業利益率が高く、今後も十分に成長が見込める分野なので、(引き続き)ナチュラルオーガニック系のコスメブランドの買収を予定している」(齋藤匡司TSIホールディングス社長)。ファッション事業とも顧客層が重なり、成長中である自然派・オーガニック化粧品を新しい収益源にしようとする動きは、今後も広まっていきそうだ。
【関連記事】
■「クルーンアソング」が全15店を閉店
■「チャールズ&キース」国内全店舗を閉鎖 ECのみで事業継続
■オンワードが食品ECを始動 バイヤーはアパレル営業マン
■オンワードが大阪支店の土地・建物を85億円で売却