ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)のステファン・ラーソン(Stefan Larsson)最高経営責任者(CEO)が5月1日付で退任する。後任は決まっておらず、暫定的にジェーン・ニールソン(Jane Nielson)最高財務責任者が業務を引き継ぐ。
ラーソンCEOがラルフ ローレンのトップに就任したのは、2015年11月。彼は5月まで業務を続けるものの、実質1年強で創業者ラルフ・ローレンとは別の道を歩むことを決断した。ラーソンCEOは会見で、退任の理由がラルフ・ローレン(Ralph Lauren)=エグゼクティブ・チェアマン兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーとの見解の不一致であることを認め、クリエイションからマーケティング、ショッピング体験の在り方にいたるまで折り合いがつかなかったと話した。一方でラルフも半世紀をかけて築き上げた自身の巨大ブランドを他人任せにできなかったようで、ラーソンCEOの採用に際して、「どうして私は、ラルフ ローレンと全く異なる企業を率いてきた彼を面接しているんだろう?」などと考えたことを打ち明けている。
減収減益基調に歯止めをかけたいラルフ ローレンは、ラーソンCEO退任後も彼が中心になって策定した大規模再建計画「ウェイ・フォワード・プラン(Way Forward Plan)」を遂行する。ところが市場アナリストには、ラーソンが会社を去る今、ラルフ ローレンがどこまで計画を遂行できるか懐疑的な意見が多い。企業経営を一族以外にゆだねることができなかったことを露呈したラルフは、後任探しに相当の時間を費やしそう。このため大手証券会社は、ラーソンCEOの退任が発表になった会見の直後から軒並みラルフ ローレン株の格付けを下げている。
ラーソンCEOはH&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ)で15年間シニアマネジメントチームに在籍した後、2012年10月からオールドネイビー(OLD NAVY)のグローバル・プレジデントを務めていた。業績を回復させ、日本進出にも携わった。その後15年11月にラルフ ローレンのCEOに就任した。「ウェイ・フォワード・プラン(Way Forward Plan)」では1000人のフルタイム社員のリストラや100店舗近くの閉店を実施した。
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