3日まで伊ミラノで開催されたファッション素材見本市「ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」では、出展企業427社のうち、300社がイタリア企業だった。特にイタリアの毛織物産地ビエラ地区のテキスタイルメーカーを集積した「イデアビエラ(IDEABIELLA)」エリアには、「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」や「ロロ・ピアーナ(LOLO PIANA)」をはじめとした名門高級服地メーカーが出展。日本企業のバイヤーも数多く訪れた。中でも「レダ(REDA)」はエルコレ・ボット・ポアーラ社長(Ercole Botto Poala、以下、ポアーラ社長)が「ミラノ・ウニカ」の会長を務めており、同見本市には欠かせない企業だ。ポアーラ社長に世界のラグジュアリー・マーケットの状況を直撃した。
WWDジャパン(以下、WWD):現在のラグジュアリー・マーケットの状況をどう見ている?
ポアーラ社長:全体的には苦しい状況だ。変革期のさなかにあり、将来を見通すのは難しい。“SEE NOW,BUY NOW”やジェンダーレス、場所を変えてのコレクション発表など、ブランドのショーのあり方自体が変わってきている。
WWD:その中で生き残っていくために必要なことは?
ポアーラ社長:「ミラノ・ウニカ」のように各企業が一致団結し、協力し合う場を作っていくこと。それから「レダ」としては、ストーリーテリング(背景を語れる)製品を作っていくこと。サステイナビリティーやトレーサビリティーを重視し、より一層素材や品質にこだわった製品を提供していく。
WWD:ストーリーテリングが重要と考える理由は?
ポアーラ社長:現代人のワードローブはすでに服であふれており、スーツを着ない若者たちも増えている。他との差別化という意味で、糸から生産工程までこだわった商品を提供していくことが重要になる。その意味では日本の消費者が一番わかりやすい。彼らは製品がどのように作られているかを非常に重視する。逆に言えば日本市場に受け入れられるモノ作りができれば、他の市場でも支持される。
WWD:今の若い消費者たちをどのように考えている?
ポアーラ社長:ミレニアル世代は、自分で考えて、自分で調べ、自ら行動する。我々が言うことを安易に受け入れたりはしない。昔は受け身の消費者が多かったが、今はインターネットで何でも調べられる時代。だからこそ、誠実なモノ作りが重要になる。
WWD:注目しているマーケットは?
ポアーラ社長:現在「レダ」にとっての3大市場はイタリア、ドイツ、米国だが、今後最も重要になるのは中国。経済制裁が解除されれば、ロシアも有力なマーケットになる。米国はトランプ大統領の就任で関税引き上げが懸念されているが、現状すでに高い関税を課されており、これ以上の引き上げはないだろう。
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