ニューヨーク・ファッション・ウイーク2日目です。この日の目玉だったラフ・シモンズ(Raf Simons)による「カルバン・クライン コレクション(CALVIN KLEIN COLLECTION)」は素敵でしたね。昨日のコラムでも触れていた通り、大雪のためシカゴへと飛ばされてしまった村上ですが、38時間の飛行機と電車の長旅を終えてNYに着きました。雪でNY便が飛ばない中、一刻も早く到着できるようシカゴからワシントンD.C.へと飛んでそこから、長距離電車を乗り継いでNYに向かったのは、朝イチで行われた新生「カルバン・クライン コレクション」のショーに間に合わせるためでした。コレクションの詳しい詳細は、村上による速報レポートをご覧ください。
まだ2日目ではありますが、ショーでは昨年からの継続トレンドである超ロングスリーブ、オフショルダーやワンショルダー、ボリュームスリーブなどをこれでもか!というくらい見ています。
私はデザイナーズのコレクション以外にも、日本国内のアパレル企業の婦人服(NB)の取材を担当しているのですが、17年春夏(今店頭に並びはじめた商品)も、特に袖のディテールに変化のあるのが特徴でした。これは数年前から「ヴェトモン(VETEMENTS)」をはじめとさまざまのブランドが提案しているのですが、この超ロングスリーブやバルーンスリーブ、ベルスリーブなどの、袖が特徴のディテールは、日本のアパレル界隈では“袖コン”(袖コンシャス)や”モリ袖”(盛った袖)と呼ばれています(笑)。そんな"袖コン"なブラウスやシャツなどは、ここ数年で流行っている“ガウチョパンツ”や”コーディガン”に変わるマストアイテムに変わると確信しております。ちょうど、「GU」も”モリ袖”を発信しているので、またガウチョの時のように、キャッチーなCMが出てくるのではないかと期待しています。
他にも、パワーショルダーのジャケットや、オーバーサイズのパーカー、肩で着るアウター、ソックス風ブーツなどをランウエイで見る度に「ヴェトモン」や同じくデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)による「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の影響力の大きさを感じます。
一見、着こなすには難易度の高そうな服が多く感じるのですが、実際に百貨店の婦人服フロアのバイヤーに話を聞くと「オーバーサイズの『ヴェトモン』や、ロマンチックな装飾の『グッチ(GUCCI)』が発信のデザインがマスにも受け入れ始められている」と言うのです。「これまで同質化を招いてきたノームコアのトレンドは収束傾向にあって、逆にデザイン性のある服から売れていく」と口をそろえていいます。そんな今の消費動向が分かる弊紙2月27日号付録(定期購読者特典)の「ビジネスリポート」にてまとめております。北は北海道から南は九州まで貴重なバイヤーの声を聞き、実際に売れたブランドや商品を紹介しています。是非ご覧くださいませ!
宣伝はさておき(笑)、東京コレクションで、いわゆる渋谷ヒカリエ的存在のNYコレのメーン会場は、今シーズンからローワーマンハッタンのギャラリースペースのスカイライト・クラークソン・スクエアに変わりました。私が学生の頃は、アッパー・ウエスト・サイドに位置する総合文化施設のリンカーン・センターに建てられた立派なプレハブの中で行われていました。会場内にはラウンジやランウエイ用の部屋があったのですが、トイレが仮設だったり、歩くと床から“ボコボコ”と音がしていました(笑)。今は建物の中なので断然キレイです。特に、ギャラリースペースなのでアート作品が飾られてたり、花の豪華装飾があり、オシャレになっているなあという印象でした。もちろん、この6年間で徐々に変わっていったとは思いますが。
ショーとショーの間にメーン会場内を探検してみると、所々にアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)の写真作品がたくさん飾ってありました。しかしこれ、ただの写真展ではありません。よく見てみると、ダイアン・フォン・ファステンバーグ(Diane von Furstenberg)やヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)、キャロリーナ・ヘレラ(Carolina Herrera)ら大御所デザイナーたちの若き姿ではありませんか。「わー!すごい」なんて興奮しながら、写真を撮っているのは私くらいで、殆どの人は皆素通りしています(笑)。それぐらいさり気ない展示なんです。この展示に連動したフォトブースも設けられていて、そこではたくさんの人が写真を撮影していました。