ケリングの2016年12月期連結決算は売上高が前期比6.9%増の123億8490万ユーロ(約1兆4861億円)、営業利益が同10.1%増の13億8020万ユーロ(約1656億円)、純利益が同20.4%増の8億6850万ユーロ(約1042億円)だった。
ラグジュアリー部門の売上高は同7.6%増の84億6940万ユーロ(約1兆163億円)だった。中でも「サンローラン(SAINT LAURENT)」が同25.3%増の12億2020万ユーロ(約1464億円)と「グッチ(GUCCI)」が同12.3%増の43億7830万ユーロ(約5253億円)と好調だった。「サンローラン」の直営店の売り上げは同32.4%増で、全てのカテゴリーおよび地域において2ケタ増を記録した。「グッチ」の直営店の売り上げは同14.8%増で、日本を除く全ての地域で10%前後伸びた。同社は好調の要因に、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)=クリエイティブ・ディレクターの独特なデザインと世界観が世界中から受け入れられていることを挙げている。刷新した公式サイトやデジタルプロジェクトにより、10〜12月期においては、ミレニアル世代による売上高は前年同期比70%増を記録したという。
一方、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は中国人観光客の消費の冷え込みにより売上高は前期比8.8%減の11億7340万ユーロ(約1408億円)に落ち込んだ。その他「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」も好調だった。
また、スポーツ&ライフスタイル部門では「プーマ(PUMA)」が売上高同5.4%増の38億8370万ユーロ(約4660億円)と好調に推移した。2016年UEFAサッカー欧州選手権やリオ・デジャネイロオリンピックで金メダルを獲得し、「プーマ」のシューズを着用していたウサイン・ボルト(Usain Bolt)選手の活躍、リアーナ(Rihanna)と共に手掛けているアパレルブランド「フェンティ プーマ バイ リアーナ(FENTY PUMA BY RIHANNA)」が売り上げを後押しした。
同社は今後、デジタル戦略に注力していくという。フランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)=ケリング会長兼最高経営責任者は「ミレニアル世代はとても重要な顧客で、すでに『グッチ』や『サンローラン』の売上高の半分弱を占める。全ブランドにおいて、デジタル戦略を強化する」とコメントした。今後はPRの約40%をデジタルに割く。中でも「バレンシアガ」はデジタルマーケティング予算を3倍にする。
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