アシックスの2016年12月期は、為替の影響と北米の販売不振が響き、売上高が前期比6.9%減の3991億円、営業利益が同7.2%減の254億円だった。純利益は、前期(15年12月期)に早期希望退職関連の特別損失を計上していたため、当期は同52.1%増の155億円になった。
米州(北米・南米)の売上高は、同17.0%減の1129億円と円高の影響で目減りした。ブラジル市場は復調し、ランニングシューズを中心に好調に推移した一方で、米国内販売が同12.0%減と全体を押し下げる要因となった。成長エンジンのアジア市場は引き続き伸長。特に健康志向が高まる中国では、ランニングシューズの売上高が倍増した。
構造改革を推進している日本は、同2.3%減の1199億円だった。アパレルは苦戦を強いられたが「オニツカタイガー」「アシックスタイガー」などのライフスタイルシューズが伸長。マークダウン商品や返品を減らしたことにより、営業利益率が3.3ポイント改善した。「改革は想定より早く進んでいる。防御処置の段階は終わり、これからは攻めの姿勢に転じる」と尾山基・会長兼CEO。アパレルのトップラインとして先月に新発売した「ジュウニ」もその一環だ。ECへの投資も拡充する。「米州では小売りは落ち込んだが、ECは売れている。自社ECだけでなく、アマゾンの売り上げも21.5%増と伸びた。ウェルネス系アプリ開発も視野に入れたデジタル関連の投資を強化する」。
2017年12月期はそれら投資費用やユーロ安、広告宣伝費増などを見込み、売上高は同5.2%増の4200億円、営業利益は同13.6%減の220億円、純利益は16.5%減の130億円を予想する。
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