ナノ・ユニバースは、新規出店のペースを抑え、EC拡充のアクセルを踏む。同社はEC分野の先駆的な企業として知られ、すでに売上高に占めるEC比率は40%に近い。これをさらに50%に高める。濱田博人・社長は「結果的に販管費を相当抑えられる。同業他社に比べて、同じ価格でも原価率が高い商品、つまりクオリティが高い商品を提供できる。ECに強い企業の強みを生かせる」と話し、競争力のアップにつなげる考えだ。
TSIホールディングス傘下のナノ・ユニバースは2002年の創業以来、右肩上がりの成長を遂げてきたが、16年2月期の売上高は前期比6.3%減の228億円に落ち込んだ。「急激な多店舗化に社内の体制が追い付かなくなっていた」(濱田社長)。昨年7月には創業者の藤田浩之・社長が退任し、TSI出身の濱田氏が社長に就く新体制に移行。年明けから春にかけて約70店舗のうち不採算の10店舗を閉めると発表するなど、構造改革にも乗り出した。
多店舗化によって地域内で競合するケースも出ていたのを、今後は原則として1エリア1店舗に集約する。「EC比率が高まれば高まるほど、お客さまにわざわざ来ていただける環境を整え、手厚くもてなせるようにする必要がある」と1店舗あたりの底上げに軸足を移す。
新年度がスタートする3月から「新生ナノ・ユニバース」を打ち出すため、ブランドロゴを刷新し、店舗も順次改装する。ブランドロゴは気鋭のアートディレクターとして注目されている電通の窪田新が制作。店装は重厚感がある男性的なイメージだったが、3月1日に新装開店する横浜ルミネ店を皮切りに明るいクリーンな空間に変えて女性が入りやすくする。「ナノ・ユニバース フラメント クオレ」「ナノ・ユニバース ライブラリー」など複数あった屋号は「ナノ・ユニバース」に一本化する。
ウィメンズの強化にも本腰を入れる。店舗では現状、メンズとウィメンズの販売比率が7対3。これを半々にする。今年1月には「バナーバレット(BANNER BARRETT)」などを手掛けた二ノ宮和佳子をウィメンズディレクターとして招聘した。濱田社長は「出店している立地はルミネやパルコなど女性に強い館が多い。機会ロスを減らせれば、縮小しているアパレル市場の中にあっても、まだシェアはとれる」と話す。
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