「ヴィヴィ(ViVi)」専属モデルの八木アリサは今年、「WWDジャパン」の新年号(2016年12月26日・17年1月2日合併号)の表紙に登場した。WWDが実施した「ファッションアイコン特集」のアンケート結果で、街頭調査ではラフォーレ原宿や渋谷109など10代後半〜20代前半の若者が多く集まる地域で特に支持を得た。「ヴィヴィ」で好評の“色っぽ”企画をはじめガーリーかつセクシーなキャラクターで人気を集めており、17年のガールズ市場のけん引を注目される存在だ。「与えられたイメージを演じることが好き」とスタンスを話す彼女はアイコン像も一つの顔として楽しんでいるようで、求められるイメージにプライベートを寄せていくプロ意識も見せる。今回は17年春夏トレンドの中から彼女の得意分野である“ラグジュアリー・カワイイ”をビジュアルで体現してもらった。その心中を聞くと、よく笑う素顔を見せた。
WWDジャパン(以下、WWD):「WWDジャパン」新年号で行った街頭調査で、17年のファッションアイコンのひとりに選ばれた。
八木アリサ(以下、八木):ありがとうございます。でも不思議です。(表紙の22人を見ながら)こんなに個性豊かなメンバーさんの中に私も選んでいただけるなんて。
WWD:自分をファッションアイコンだと実感する瞬間はある?
八木:私は……ない方だと思います。ファッションアイコンは自分の色を持っている方のイメージですよね。私は自分で「これを着たい」という主張があるよりも、イメージを作っていただいて演じるお仕事をする方が好きなので。実は自分を表現することはあまり得意じゃない。八木にも「ヴィヴィ」の企画でよくやる“色っぽ”などのイメージがあると思うけど、そういった企画を組んでもらう前までは洋服は何でも好きでした。逆に世間のイメージに合わせて自分をガーリーに寄せていってます。イメージが先に行って後から追いかける不思議な感じです。
WWD:自分が雑誌で着た服を着ている女性をどう思う?
八木:嬉しいです。特にファンイベントの時に真似してくれている方を見ることができてニヤけます。八木になるために「(左あごの)ホクロ付けてきたの!」って言ってくれる方もいたり、“やぎたま”(八木アリサと玉城ティナ)が好きでショートボブの“たまカット”と巻き髪ロングの八木カットにしたペアの方たちもいたりするんです。“やぎたま”がきっかけで仲良くなった方もいるみたいで、すごく嬉しいです。
WWD:街頭調査ではガーリーな部分を参考にする声や、セクシーさに憧れる意見があがっている。自分のイメージが生まれた「ヴィヴィ」で発信したいことやモデルとしての目標は?
八木:「ヴィヴィ」は憧れのモデルさんばかりだし、「かっこいい!」って思える現場だし、モデルのプロ意識を芽生えさせてくれたお仕事です。八木アリサ=ガーリー!って冠を付けてもらい、自分の名前での企画をいただいた時にカチッとスイッチが入りました。八木的にもガーリーが自分にハマるイメージで武器なのかなと思えるようになったのは「ヴィヴィ」のお陰です。ただ、お仕事はなんでも来いです。モデルは何でも似合う方を素敵だと思うし、ファッションアイコンに固執はしていない。メイクにしたって色々なチャレンジは良くするし、NGなルールはあまりありません。
WWD:モデルとしての持ち球の多さを感じる。17年春夏のトレンドには、“ラグジュアリー・カワイイ”や“アスレチック・フェミニン”など、八木さんお得意のさまざまなガーリー・トレンドが。
八木:私はレースとかフリルとか、ピラピラしたものが好きです。あとオフショルもたくさん集めているかも。花柄とギンガムチェックだけはあるけど、柄物や今日の撮影で着た「MSGM」のバナナみたいなプリントや文字入りアイテムは少ない。それとバッグはだいたい毎日斜めがけですね。ポシェットが好きです。
WWD:今日は「MSGM」を着て、“ラグジュアリー・カワイイ”を表現した。
八木:ちょっと新鮮でありつつ自分の好きな要素が散りばまっていました。ポイントはプリプリ感です。クロスしたラッフルをトップスのレイヤードで使って、サンダルもフリルでプリッとしている。色も黄色が鮮やかなカラーコーデでした。「MSGM」は私より少し年上の女性が似合う印象だったのですが、ショールームで実際に見てみたら萌えでした(笑)。WWDさんに出てくるハイブランドをインスタグラムで日頃チェックすることもありますね。「ミュウミュウ(MIU MIU)」が好きでリュックをよく背負ってるし、「カルヴェン(CARVEN)」も可愛い。ショーを観に行ってみたいです。
WWD:昨年9月にニューヨークで「トミー・ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」の2017年春夏コレクションを観た感想は?
八木:「トミー」のショーはとても特別で、素敵でした! 海外のショーってモードな世界観でもっとプレーンでストイックなイメージでしたが、「トミー」の会場が遊園地みたくアトラクションやフードのあるアミューズメントパークになっていて、雰囲気も楽しかったです。モデルの皆さんもカジュアルに歩いてましたけど、本場の方々の颯爽と歩く姿を思わずじーっと見ました。
WWD:昨年8月にスタイルブック「やぎマガジン」を出すなど、素顔の一面も見せはじめているが反響は?
八木:初めて会う人もそうですけど、まず「笑うんだ!」から言われます。普段SNSにも笑っている写真はあまり載せていないですし、多分本当のキャラを知られていないと思うんですよ。「いつもの八木だね」って写真が載っている本ですけど、新鮮な方が多かったみたいです。ただ自分で見ても不思議な感じはします。撮影の時に「八木で居て」って言われたんですけど、最初は「八木って?」って自分でもわからなくなりました。途中から「これで良いんだ」となりました。素の自分の写真はちょっと恥ずかしいですが。
WWD:すっぴんでは外に出かけないマイルールやカラコンなど、スイッチも多いようだが?
八木:マイルールというか、カラコンは小さなことですけど……私、ハーフなので目の色が少し薄いんです。昔みんなでプリクラを撮りに行った時に私だけ黒目に機械の色補正が反応しなくて写りが違っていて、「私も黒目が良かったな……」って思ったことがきっかけです(笑)。日本に戻ってきたての時期にみんなと馴染むことに必死でその癖があったので、カラコンをつけ始めました。今は逆に撮影のテーマに合わせてカラコンを変えるなど、楽しめてますよ。
WWD:北海道で生まれて4歳でタイのプーケットへ。その後タヒチで過ごした時期もあるなど人生経験も豊富だ。「やぎマガジン」では「(人生のやり直しは)もういい。やり直しは辛い(笑)」という意味深発言も。
八木:いや(笑)、その時々が幸せという意味です。良い人生で花マルです。だからもうやり直しはいらない。
WWD:同世代の仲間にも恵まれているようで、“やぎたま”が人気だ。
八木:不思議ですよね。仲の良い子とコンビ名をつけられることとか、モデルをやっていない限り普通はない経験だし。「ヴィヴィ」で同時期に東京へ出てきたことがきっかけで、モデルさんはたくさんいるけどそれでもたま(玉城ティナ)と企画で組むことが多かった。かつ、性格も真逆で出身地も北海道と沖縄で真逆なのに仲良くもなれた。プライベートでも仕事の話でもいちばん喋れるのはたまとだし、がんばれます。楽しいも苦しいもあれもこれも共有できた。「ヴィヴィ」歴はお互い長くとも未だに年齢的には一番年下で不思議な立ち位置の2人ですが、がんばっていきたいです。
WWD:今の自分に点数をつけるとしたら?
八木:どこかしらにまだ引き出しがあると期待して50点。具体的なイメージは模索中ですが、自分の中では少し行き詰まっているので、引き出しを増やしたい。モードの世界もかっこいいので、機会をいただけたら挑戦していきたいです。今日もこの後、「サカイ(SACAI)」の新作バッグのローンチパーティーにお邪魔するので楽しみです。