ロンドン・ファッション・ウイークの個人的な楽しみの一つが、ユニークな方法で新作を発表するアクセサリーブランドのショーやプレゼンテーションでした。プロダクトとしての側面も強いバッグやシューズは、モノとして捉えられてしまわれがちなので、いかにコレクションの世界観やテーマを表現するかが非常に重要。そして、このショーやプレゼンの演出が来秋冬、ポップアップショップや店のディスプレーにも生かされてくることでしょう。そういう意味でも単に展示会ではなく、見せ方自体にもこだわるのは良いことだと思います。今日は中でも引き込まれた3ブランドをご紹介します。
まず1つ目は、ロンドンでいち早くショー形式の発表を始めた「アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH)」です。毎シーズン、趣向を凝らしたセットと演出が特徴になっていますが、今回は雪山に見立てたセットを用意。昨シーズン導入した、レザーを編んだり、はめ込んだりする伝統的なレザークラフトをモダンに活用し、北欧の民俗的なモチーフを表現しました。新たに登場したのは、パーティーの飾り付けに使う輪っか飾りをモチーフにしたようなレザーのパーツや、ハートをつないだハンドルがアクセントのバケットバッグ。おとぎ話に出てくるモンスターのようなファーのシューズもカワイイです。
お次は、2015-16年秋冬からショーを行っている「シャーロット オリンピア(CHARLOTTE OLYMPIA)」です。今季は趣を変えてオリジナルの短編映画「AN ACCESSORIES TO MURDER」を制作。実際の老舗映画館を貸し切り、プレミア上映会のような設定でコレクションを発表しました。
舞台はフィルム・ノワールの世界。映画だけでなく会場の外から既に演出が始まっていて、道端でサックスの演奏に合わせてタップダンサーが踊っていたり、作品の世界から飛び出してきたように1940年代ルックを身にまとったモデルが談笑していたり。よく見るとポスターまで特別仕様。芸が細かいです。
上映後にはシャーロットと出演者がそろって出てきてご挨拶。彼女が作るテーマ性の強いコレクションにはこの方法がぴったりマッチしていましたし、ロビーには映画の中に登場した最新のバッグやシューズも展示してあり、ばっちりチェックできたのも良かったです。
そして最後は、人気上昇中の「ソフィア ウェブスター(SOPHIA WEBSTER)」。今季は、「I SCREAM FOR ICE QUEENS」をテーマに、氷の女王たちが住む世界を表現しました。氷の欠片をイメージしたクリスタルやメタリックな素材、モコモコのファーをふんだんに使った新作が会場の演出と合わさって、とてもキュートでした。ロンドンで車をご一緒していたV誌のMさんの言葉を借りると、「アナ雪・ミーツ・モード」。うまい。まさにその通りの世界観でした。
ミラノやパリコレでもアクセサリーブランドの取材をしてきましたが、ここまで凝った演出で見せているのはロンドンならでは。見ているこちらのテンションも物欲も上がったのでした。