カナダの小売り大手ハドソン・ベイ(HUDSON'S BAY)が、全米最大の百貨店メイシーズ(MACY'S)の買収を断念したことが明らかになった。関係者が明かした。その関係者は、「単純に買収額が折り合わなかった。メイシーズは価格を引き上げようと、一方のハドソン・ベイは下げようと腐心するばかりだった」と話す。HBCは同社より巨大なメイシーズを飲み込むべく、中国系を含む投資会社などとの連衡策を練っていたが、実現しなかった。また、2社の組織をどう統合するか、合併後どちらの会社がリーダーシップを取るかなどについても、双方の隔たりは大きかったようだ。
両社の合併話が暗礁に乗り上げたことで、業界筋は資金が潤沢なハドソン・ベイの次なる標的をウワサし始めた。ハドソン・ベイのトップを務めるリチャード・ベーカー(RICHARD BAKER)=エグゼクティブ・チェアマンは、かねてからニーマン・マーカス・グループ(NEIMAN MARCUS GROUP)に興味を示しており、業界筋は、ハドソン・ベイ傘下のサックス・フィフス・アヴェニュー(SAKS FIFTH AVENUE)とニーマン・マーカスの統合には意味があると分析している。自らを「百貨店ビジネスのグローバル集合体」と称するハドソン・ベイは、イギリスのセルフリッジ(SELFRIDGE)やカナダのホルト・レンフルー(HOLT RENFREW)を擁するセルフリッジ・グループや、香港を中心に百貨店のレーン・クロフォード(LANE CROWFORD)とセレクトショップのジョイス(JOYCE)を手掛けるレーン・クロフォード・ジョイスにも注目しているようだ。
一方のメイシーズは、再建策の見直しを余儀なくされそうだ。破談を受けムーディーズは同社の信用格付けを引き下げ。「消費者の買い物がアウトレットやeコマースにシフトするなか、メイシーズの売り上げは厳しくなるばかりだ」との分析もある。
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