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ローズバッド渋谷店改装で、もてなし力と情報発信力を強化

 TSIホールディングス傘下のローズバッドは、昨年9月に就任した桒田康治・社長の下、嗜好品提案型のセレクトショップとして存在感を発揮させていく。経験者などを起用し、顧客に見えない部分となる業務フローや商品フローなどの仕組みを整備して効率化や最適化を進める一方で、顧客が目にする品ぞろえや店頭での表現などを磨き上げ、独自性をさらに高めながら、健全な成長を目指す。

 ワールド出身で、「ドレステリア(DRESSTERIOR)」や「アクアガール(AQUAGIRL)」を手掛け、WEL高感度バイイングSPA事業部長も務めた桒田社長は、「以前から、歴史があり、独自性がある、芯の通ったブランドだと思っていた。リーマンショックなどにも影響を受けずに成長してきた」とソフト面を評する一方で、「仕組みや組織の構築が遅れている」とハード面や運用面での課題を指摘。まずはフレームを見直し、創業者の佐達諭史氏時代の文鎮型の組織から、商品本部と営業本部の2本部制に改組。MDや発注の仕組化など商品調達フローの構築にも着手している。PR・マーケティング・コミュニケーション部門を社長直轄として配したりもしている。

 主力の「ローズバッド」18店舗を中心に、メンズ、ウィメンズ・キッズ・生活雑貨を複合したライフスタイル型の「ローズバッドカップルズ」1店舗、アウトレット9店舗の計28店舗を展開中。2016年2月期の売上高は102億円(前期比5%減)だったが、17年2月期は減収減益となったもよう。

 直近の成長ドライバーと位置付けるのは「既存店」と「EC」だ。「ローズバッド」の店舗は都市型(首都圏に8店舗、関西に4店舗、名古屋に1店舗)が中心で、店前交通量も多い好立地にある。1店舗当たりの売上高・坪効率が業界の中でも高水準にあるのが特徴だ。だからこそ、既存店の成長余力は大きいと桒田社長は見立てている。「今期は既存店をきっちりと伸ばす。多店舗化をするよりも、のれんを磨いていく。都市型の一等地に多く店があるので新規顧客も獲得しやすい。まずは、基幹店舗の広島、横浜、名古屋、うめだ、渋谷の5店舗をリニューアルする」。従前から店舗デザインを担ってきたクリエイターと、新たに起用したクリエイターの魅力を融合するなど、「伝統に時代のエッセンスを入れて、化学反応を起こしたい」。

 3月1日に改装オープンした横浜店(売り場面積約150平方メートル)は、“リミックススタイル”をテーマに、「ローズバッド」の原点である、世界各国から厳選したボーダレスなミックススタイルを、横浜というエリア特性と今の時代性に落とし込んでミキシングし直した空間を提案。一つのカテゴリーに固執することなく、ファッションの持つ自由なスタイルを居心地よく楽しんでもらえるようなムードに仕上げた。

 次の目玉は、3月17日に改装オープンする渋谷路面店だ。「創業の地でもあり、魂の宿った特別な店だ。周辺も開発され新しいビルなどが建つ中で、ファッション、プラス、『ローズバッド』らしいカルチャーが発信できる館にする」。これまで1、2階の2層で営業してきたが、物販は1階(同約170平方メートル)に集約。2階は“ローズバッド・サロン”として、顧客に向けた特別なもてなしを提供したり、プレスルームやECスタジオを併設して情報発信を行っていく。ポップアップスペースを設け、ワークショップや社会貢献活動なども積極的に行っていく。「ローズバッド色の濃いスタッフも集まっている。人・モノ・器がそろった、もてなし空間、情報発信拠点とし、ボーダレスでエイジレスでカルチャーが感じられるフラッグシップストアにしたい」。

 店舗(現場)とプレスルームとECスタジオを近接させることで連携を強化し、もう一方の成長ドライバーと位置付けるECのレベルアップにもつなげたい考え。EC化率は現在約14%で、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を中心に、マガシークやルミネ、マルイなどの外部モールでの売り上げがほとんど。自社EC比率は18%にとどまっている。「業務プロセスの見直しの一環として、TISホールディングスのBPRプロジェクトチームとともに、ナノユニバースやアルページュなどグループの知見を活用。外部のリソースなども入れながら、自社EC、外部モールともに売り上げ拡大を図る。今期は前期比で5割増を目指し、EC化率は20%超とし、中期的には3割へ引き上げていく」。

 今期(18年2月期)は前期比5%増と増収大幅増益を計画。4月には名古屋のタカシマヤゲートタワーモールに新店舗を出店する。改革が軌道に乗れば、強みである服飾雑貨の単独店舗や、エリアや立地に応じたコンセプトショップの展開、あるいは、新業態の開発なども可能になるだろう。

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