2013年春夏シーズンにデビューした「ターク(TAAKK)」は、3月25日に「アマゾン ファッション ウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」で初のランウエイショーを行う。森川拓野デザイナーは「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」のメンズ、ウィメンズのデザインチームで経験を積んだ後、30歳で独立し、自身のブランドを設立した。メンズウエアが中心で、森川デザイナーが日常で見たこと、感じたことをデザインに落とし込む。「自分の強みは、洋服の根本となる材料集めからデザインまでをトータルでできること。前職の頃から特殊な工場や機屋(はたや)と仕事をしてきた。『ターク』では彼らが作る想像もしないような材料を、自分なりのデザインでカタチにしている。核となる材料を自分でそろえることができれば、必然的に人と違うものができる」と森川デザイナーは自身の強みを語る。
その言葉通り「ターク」のウエアは刺しゅう、スパンコール、ペイントなど一つ一つのテキスタイルが大胆で強い。しかし、それらをただ強調するのではなく、“着られる”アイテムへと落とし込むバランス感覚に優れている。「工場や職人さんたちが培ってきた技術をそのまま使わせてもらうのではなく、どうすればもっと人が感動したり、喜んでくれたりするのかを考えるところから始める。職人さんたちとの良い関係性があるからこそ、自分のエッセンスを理解し、それをカタチにしてくれる。無理を言って謝ることも多いが(笑)、そのやりとりも楽しいから」。
現在の卸先は国内がユナイテッドアローズやオープニングセレモニーなど20店で、海外はアメリカやアジアなど5店。昨年の「東京ファッションアワード」受賞で今年1月にパリ、その後ニューヨークの展示会でコレクションを披露した。「アワードに応募したのは、パリの展示会で海外へのチャンスが広がると思ったから。国内のスケジュールに合わせながら海外に販路を広げようとしても、スケジュール的に量産が難しかった」。
海外の展示会を経て、成長への手応えも感じている。「パリやニューヨークの経験で、もっと分かりやすい『ターク』らしさが必要だと感じた。素材には驚いてくれたが、それがマニアックすぎてもダメ。海外だと日本よりも『あのブランドっぽい』という見方をされてしまうので、一目でわかる個性を磨いていかないといけない。次のステップにつながる経験ができた」と振り返る。
その次なるステップに向けて、大きなきっかけになるのが初のランウエイショーだろう。詳細は「見てから素直な感想を聞かせてほしい」と多くを語らなかったが、昨シーズンから本格始動したウィメンズが登場すること。そして「グッチ(GUCCI)」との協業で話題になったカナダ人アーティストのトレバー・アンドリュー(Trevor Andrew)のパートナーとしてジュエリーを作ってきたウィル・ショット(Will Shott)とコラボレーションすることを明かした。「アメリカで意気投合したウィルと組んで、ブランド初のジュエリーや、彼自身のブランド『www.』のアイテムがショーに登場する予定だ。そういった人との出会い、服、演出など、色々な要素が垣根を越えて一つになる世界観を表現したい。ただアワードを受賞したからショーをやりました、ではつまらない。見てくれた人が驚き、感動してくれるような仕掛けを用意している」。
また「ターク」は、今回の東コレ期間中に「WWDジャパン」スタッフがショー会場で「デジタルデイリー」を配布する際に着用するスタッフジャケットのデザインを手掛けている。「今回は『www.』『WWDジャパン』とコラボするので、なぜかWづいてる」と笑った。