デビアス グループ(DE BEERS GROUP)は3月22日、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)と設立した合弁会社デビアス ダイヤモンド ジュエラーズ(DE BEERS DIAMOND JEWELLERS)のLVMHが所有する50%の株式を取得した。
ブルース・クリーバー(Bruce Cleaver)=デビアス最高経営責任者(CEO)は「完全なるコントロール権を得ることにより、小売事業の統合および商品ラインアップの拡充を実現できる。(グループ傘下の)『フォーエバーマーク(FOREVERMARK)』と共に、多種多様なダイヤモンドを提供する」とコメント。「デビアス」は小売り、「フォーエバーマーク」は卸のみで展開している。
LVMHとデビアス グループは合弁会社の設立を2001年1月に発表し、「デビアス」をグローバルなブランドへと成長させる計画を立てた。当時、南アフリカのダイヤモンド鉱業団体はダイヤモンドの原石の需要を高めるべく、さまざまな施策を打っていた。一方、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼CEOは、同社のウオッチとジュエリー部門を拡大し、約600億ドル(約6兆7200億円)規模といわれていたダイヤモンド市場の中で大きなシェアを占めようとしていた。両社は初期投資費用として4億ドル(約448億円)を出資し、その後「デビアス」の独立店舗やハイジュエリーコレクションをローンチした。設立当初はより一般顧客向けのブランドとして成長戦略を掲げたが、度重なるCEOやデザイナーの交代にともないブランドビジョンを変更し続けた。
ルカ・ソルカ(Luca Solca)=エグザンBNPパリバ(EXANE BNP PARIBAS)マネジング・ディレクターは「ダイヤモンド業界のキープレイヤーである『ブルガリ(BVLGARI)』を傘下に持つ現在のLVMHと、ジュエリーブランドを持っていなかった当時と状況は全く違う。"成功しなかった事業”としてデビアスを手放すのは自然な流れかもしれない」とコメント。 バークレイズ・キャピタル(BARCLAYS CAPITAL)のアナリスト、ジュリアン・イーストホープ(Julian Easthope)は「LVMHにとって、デビアスとの合弁会社は全事業の中で規模が小さく、今回の株式の売却はそこまで影響がないだろう。多くの事業を収めているポートフォリオを整理するのは妥当だ」と語った。