吉原秀明と大出由紀子が手掛ける「ハイク(HYKE)」は3月24日、初めてのフロアショーを中目黒の自社ショールームで開いた。ファッションショーは2009年春夏に「ハイク」の前身の「グリーン(GREEN)」を休止して以降、約8年振りになる。ショーのフロントローには、スタイリストや有力セレクトショップバイヤー、モード誌を手がけるライターなど東京ファッション・ウィークではあまり見かけない面々が顔をそろえた。
電子ピアノの規則的な音に、ランダムな音を重ねたような音楽を背景に静かにショーは始まった。ファーストルックはゆったりとしたロングコートにハイネックニットのオールブラックのコーディネート。ライダースジャケットを想起させるベルトとファスナーやボタンのディテールが静かに主張する。その後も、ライダースジャケットやフライトジャケットなどの要素を少しずつ抽出し作り変えたようなミニマルに表現したモダンなウエアが並ぶ。シルエットはこれまでよりもゆったりとしたロングトルソーがベースにあり、たっぷりとしたマキシ丈のスカートやワイドパンツと合わせているため、ヘムが揺れて優雅だ。パッドを入れて肩を誇張したジャケットのセットアップも、ノーラペルに隠しボタンで提案しているため、やりすぎ感がなく心地よい。ショーの音楽は次第に複雑にランダムに重なり合っていくが、あくまで主旋律を残していて、何かしらのスタイルや古着からコレクションのイメージを広げる彼らのクリエイションと重なる。
インスピレーション源は、ライダージャケット、フライトジャケット、アウトドアウエア。その歴史、デザインの変遷をもとに、そこから素材、パターン、付属などを分解し組み替えた。
「ハイク」は「服飾の歴史、遺産を自らの完成で独自に進化させる」をコンセプトに、2013年秋冬にスタート。「マッキントッシュ」や「アディダス」などとのコラボレーションも話題になった東京の人気ブランド。
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