ファッション

マリオ・テスティーノがお忍び来日 桜が舞う中ゲリラ撮影実施

 フォトグラファーのマリオ・テスティーノ(Mario Testino)が日本でのビジネスミーティングのために来日した。4日夜に東京に到着し、5日の午前中にミーティングを終えたテスティーノは、午後から渋谷周辺でゲリラ的に撮影を開始。中目黒、代々木公園、銀座を移動し満開の桜を撮り続けた。今回撮影した作品は、自身のオフィシャルサイト内「ミラミラ(Mila Mila)」で近日公開する予定だ。

 テスティーノは同作品について「テーマは、日本の自然の“ドキュメント”。特に桜を撮影したかった。桜のような“一瞬の儚い美しさ”は、世界中どこを探しても見つからない。花びらが舞っている風景には、とにかく感動したよ。今はファッションフォトグラファーと思われがちだけど、写真家を始めた頃は、アンダーグラウンドなカルチャーや風景ばかり撮っていたんだ。その後は、みんなが知っているようなキャリアを積んだ。その意味では一度、原点に帰ったような気持ちで撮影に挑んだ」と日本の春の風物詩である花見も堪能し、桜の美しさを絶賛した。撮影の合間には現場周辺を散策。「東京は、本当に人間観察が楽しい場所だね。渋谷の若者はいつもエネルギッシュで、あれだけ多くの若者がひしめく街は渋谷以外に見つからないよ。蔦屋書店にも立ち寄って、アートブックや日本人の写真家の作品を見たら、いずれも素晴らしい仕上がりだった。名前を忘れてしまったけど、フィルムで撮った若者のポートレートが表紙の写真集は特に良かったね。代々木公園では、いろいろなスタイルの若者がいて、ファッションが個性的で面白かった。今は、ロックやスケートボードなどのカルチャーがトレンドなのだということをあらためて実感した」と東京でもさまざまな刺激を受けたようだ。5日からは京都へ移動し桜を撮影する予定。

 また、自身のポートレートの撮影場所は、京都へ出発前の東京駅新幹線のホームを指定した。その理由について「僕は世界各国を旅しながら撮影をしている。自分自身を表現するなら、常に移動している旅行者のイメージ、駅のホームが最適だと思ったんだ。ホテルやありきたりの場所で撮影するのは本当につまらないからね」。と語り、行き交う電車や新幹線の清掃員をオリジナル仕様の「ライカ(Leica)」で撮影した後、颯爽と京都へ向かった。

 テスティーノはペルー出身で、ロンドンをベースに活動する写真家。「ヴォーグ(VOGUE)」や「ヴァニティ フェア(VANITY FAIR)」などのラグジュアリー雑誌で写真家として活躍。元チャールズ皇太子妃である故ダイアナ妃のポートレートで注目を集めた。「グッチ(GUCCI)」や「ヴェルサーチ(VERSACE)」「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」など数多くのラグジュアリーブランドのキャンペーンを手掛けてきた。15年には、男性のポートレートだけを集めた作品集「Mario Testino: SIR」を世界限定1000部で発売した。

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