イオンモールは海外での新規出店を加速する。中国や東南アジアで2019年度までの3カ年で15モールの新規出店を計画する。すでに営業中の19モールと合わせて34モールになる見通し。国内市場の成長が鈍化する中、中間所得者層が爆発的に増加するアジア市場を取り込む。
12日に発表した中期経営3カ年計画の柱として打ち出した。同社は現在、中国に13、ベトナムに4、カンボジアとインドネシアにそれぞれ1のモールを運営する。特定のエリアにドミナント(地域集中)出店しているのが特徴で、例えば中国の蘇州の3店舗はそれぞれ20km前後しか離れていない。消費者への効果的なブランディング、スケールメリットを生かした効率的な運営、販売実績をベースにした出店テナントの家賃引き上げなど、ドミナント出店の利点を生かす。今秋開業する天津などのテナント募集説明会では、区画数の2倍の出店希望者が集まるなど、成果を上げている。
「通常の海外のモールは営業黒字まで3年を要するが、蘇州の3号店は初年度から黒字になった」(吉田昭夫・社長)。既存の19モールのうち10モールは16年度で営業黒字を達成。海外事業は15年度で54億円の赤字だったが、16年度は37億円と赤字幅が縮小しており、17年度には黒字転換を見込む。19年度には営業利益50億円を計画する。
日本と同じく顧客にECでは得られないコト提案を訴求する。日本のアニメキャラクターによるショー、日本の夏祭りや縁日を再現した催事、ボーリング場やアイススケート場などのスポーツ施設、異国情緒を演出したフードコートなど、物販以外のコンテンツを充実させ、集客を促す。それらの効果もあって、16年度の既存モールの専門店売上高は中国で前年比15%増、ベトナムで同17%増、カンボジアで同20%増と伸ばした。