ビジネス

佐藤繊維がニット専用工場を本格稼働 国内ニットの再興目指す

 山形県寒河江市の紡績・ニット製造、佐藤繊維は、無縫製横編み機「ホールガーメント」のニット専用工場を本格稼働した。同社は3年前、倒産した紡績工場2社の設備と、染色工場を買収。昨年5月以降、トータルで約4億円以上を投資し、新たに25台のホールガーメントを増設した。現在は計52台にのぼる。ホールガーメントは5、7、12、15、18ゲージをそろえ、メーンは中国やイタリアのメーカーが敬遠する15、18ゲージのハイゲージ。これまでの自動機では作れないようなシルエットの製品にこだわる。佐藤正樹・社長は「コストについては、中国や東南アジアの工場に比べると約2倍かかるが、20倍だった以前より、差はかなり縮まった。高い原料を使った場合は、上代の差はほぼなくなる。閑散期を活用できればさらに下がる」と話す。

 現在、日本の市場で流通しているニット製品の99%は、中国や東南アジアで作られた海外製品だ。背景には、企画から製造、小売までを一貫して行うSPA型店舗のオーバーストアやネットビジネスの台頭で、労働コストの安い中国や東南アジアに生産地が移ったことが挙げられる。しかし、労働コストの安かった中国や東南アジアも、今や賃金の高騰でかつてのようなコストメリットは見込めない。佐藤社長は、「売れ筋を追求し安さとスピードを求めるばかりに、コストメリットを重視するアパレル業界に危機感を感じている。今後はよりしっかりとしたストーリーのあるモノ作りができることがブランドにとって鍵。信用のある原料と染めで、モノ作りすることが大事な時代になる。次のステップとして、モノ作りのパートナーを真剣に考える局面に来ている」。5年後10年後を視野に入れ、アパレルメーカーや小売業と共に国内ベースのモノ作りの再興を目指す。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。