セルフィーを始め、自身の外見に執着するようになったと言われるミレニアル世代の間で、20代からエイジングケアを始める人が増えている。スーパーフードやソウルサイクルなど最先端のビューティ・ヘルスケアに興味を持つ彼女たちにとって、流行りのフェイシャルやエステは、歯医者の予約と同質かそれ以上の価値がある。
極細の針を肌に刺すことによって治癒力を促すマイクロニードリング(Microneedling)や、化学薬品を用いて余分な角質や老廃物を溶かすケミカルピール(Chemical Peel)が特に人気だ。これらの治療はボトックスとは違い、回復期間が短く直ぐに効果が得られる。ミレニアル世代の多くは、皮膚科やエステ、直ぐに治療をうけられる「クイックサービスバー」に通っている。
マンハッタンで医院を経営する皮膚科医のデンディ・エンゲルマン(Dendy Engelman)は「9年前に開業してから、患者の平均年齢が約8歳若くなっている。ミレニアル世代は昔よりも、いろいろなことを異常なほど気にしている。皮膚ガン予防のために日焼け止めではなく、皆エイジングケアのために日焼け止めを積極的に塗っている」と語る。
また、セレブやインフルエンサーがSNSで最先端の治療の様子や結果を投稿しているため、痛みに対する抵抗もないようだ。ニューヨークで働く皮膚科のホイットニー・ボウ(Whitney Bowe)は「若い患者が非常に増えている。彼らはレーザーなど最先端の技術を使うことに抵抗を感じない。昔は事態が深刻になってから最終手段としてテクノロジーに頼る人が多かった。今一番人気なのは、針で肌を傷つけ、自身の血液のプラズマを使用して皮膚の再生を図る『ヴァンパイア フェイシャル(Vampire Facial)』」。「ヴァンパイア フェイシャル」は2014年にキム・カーダシアン(Kim Kardashian)がSNSに投稿したことによって大きな話題を呼んだ。
多くのスキンケアブランドはミレニアル世代に対し、親世代が百貨店で購入しているエイジングケアクリームなどを買ってもらうようさまざまな施策を打っているものの、苦戦している。しかし、決して彼らはスキンケアに興味がないわけではないようだ。専門家によると、費用がかかっても、すぐに効果が得られる治療の方が人気という。また、「エレミス(ELEMIS)」など、フェイシャルや治療を受けた後に自宅で使う商品が人気を得ているスキンケアブランドが増えている。「エレミス」は昨年「スーパーフード フェイシャル トリートメント」の後に使う「スーパーフード フェイシャル オイル」や「バイオテック」フェイシャルの後に使う「バイオテック」シリーズをローンチした。旗艦店では、短時間で治療をうけられる「スピード スパ(Speed Spa)」サービスを開始した。その他ロサンゼルスの「フェイス プレイス(FACE PLACE)」はニューヨークに進出した他、「スキン ランドリー(SKIN LAUNDRY)」はアメリカやイギリス、香港に出店。昨年誕生した「シルバー ミラー フェイシャル バー(SILVER MIRROR FACIAL BAR)」もニューヨークで注目を集めている。