藤田浩行・前ナノ・ユニバース社長が、新たな事業を始動させた。新会社キャトルコンフィアンスを設立し代表に就任。ここを母体にウィメンズ、メンズ、オンラインストア・オンラインマガジンなどのネット系事業、ブランドのディレクションなどを行っていく。
「キャトルコンフィアンとは、『4』『信頼』という意味のフランス語。4月に信頼できる知人と会社を設立した。ホールディングカンパニーとし、その傘下で、これまで培った品ぞろえや空間作り、ブランディング、ネット販売などのノウハウやネットワークを生かしながら、時代に合ったプロジェクトを開発していきたい。将来的には、大切に温めてきたブランドをスタートしたり、海外にセレクトショップを出店することも視野に入れている」という。
第1弾として、婦人服アパレル・小売りのヰノセント(イノセント)を買収した。「ニーム(NIMES)」や「マリン フランセーズ(LA MARINE FRANCAISE)」を軸に、中目黒や代官山などを拠点に普通の暮らしをおしゃれに演出する服や生活雑貨などでライフスタイルを提案してきた、“ナチュラルフレンチ”テイストの代表的ブランドだ。店舗数も25店舗ほど構えているが、売り上げの1/3~1/4ほど占めている卸事業出身のため、小売り型のビジネスモデルに切り替えられずにきていた部分もある。売上高はグループで40億円弱に漸減。創業者の土田久雄・前社長は1951年生まれの66歳で、事業承継者を探していたという。
新体制では、ヰノセントをキャトルコンフィアンスの100%子会社とし、社長に「ア ベイシング エイプ(A BATHIGING APE)」などで実績のある橋本雅幸氏を抜擢。藤田氏はクリエイティブ・ディレクターとして手腕を振るう。「着任して1週間で全員とミーティングしたが、モノ作りや商品への思いなどに溢れている。卸売りの企業としては完成している。今後は、服飾雑貨の投入やきめ細かいマーチャンダイジング、ネット販売などを強化し、店舗や小売りの部分を強化していく」という。
具体的には「『ニーム』はブランドのコアの部分を掘り下げる。イメージとしては、『コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)』が好きな世代に向けたナチュラルモード系ブランドとしてアップデートさせ、大人ガーリーの世界観を発揮したい。『マリンフランセーズ』はメンズもデビューさせ、セレクトショップ的な展開に切り替えていこうと考えている」。
ナノ・ユニバースを短期間で急成長させ、EC化率40%という次世代型ビジネスモデルを築き上げた藤田氏。ヰノセントの再生と、新たな次の一手に注目したい。