「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」は4月29日から、京都国立近代美術館で「技を極める−ヴァン クリーフ&アーペル ハイジュエリーと日本の工芸」を開催する。同ブランドのハイジュエリー約260点と日本の工芸約60点を対比させ、日仏の熟練したクラフツマンシップの親和性を紹介。開会に先立ち28日に内覧会を行い、ニコラ・ボス(Nicolas Bos)=ヴァン クリーフ&アーペル プレジデント兼CEOと柳原正樹・京都国立近代美術館館長、松原龍一・同学芸課長、そして会場設計を手掛けた建築家の藤本壮介、音声ガイドとナビゲーターを務めた女優の松雪泰子が登壇した。
展示は、1907年頃制作された作品から2012年までの貴重なアーカイブコレクションとともにブランドの歴史を紐解く第一セクションから幕を開け、「超絶技巧」と呼ばれる日本の伝統工芸とハイジュエリーの“共演”、「文化の融合と未来」と題した現代工芸作家とのコラボレーション展示の3部構成。「西洋のジュエリーと東洋の伝統工芸との対話を通して、また、このような趣のある美術館に展示することによって、我々がこれまで気づかなかったハイジュエリーのデコラティブ・アートとしての一面にも触れることができた」とニコラ=プレジデント兼CEO。柳原館長は「単なるハイジュエリーの展示会ではない。日仏の熟練した職人技術と文化の親和性を堪能できる展示だ」と太鼓判を押した。
藤本は会場のコンセプトについて「モノに力があるので、レイアウトはなるべく削ぎ落とした」と説明。第一セクションでは日本のヒノキを用いた全長18メートルに及ぶカウンターを用意し、アーカイブを展示。次のセクションでは、ガラスケースを何層も重ねたレイアウトを施した。「ジュエリーと工芸品が反射して、無限に広がるような空間をイメージ。層をなして奥行きを持たせる方法は、襖や水墨画などで用いられる日本の伝統的な技法でもあり、今回の共演にふさわしいと思った」。松雪は「荘厳で静謐な美しい空間が広がっている。作品ひとつひとつにストーリーが詰まっているので、音声ガイドを通して深く楽しんでもらいたい」と語った。
ハイジュエリーと併せて展示している日本の作品は、友禅の森口邦彦をはじめ、織物の北村武資、木工芸の中川清司ら人間国宝が手掛けたものも多数出展。また、パリ・ヴァンドームの工房を再現し、実際に現地で使用している作業台や椅子を持ち込んだワークショップのコーナーも用意した。展覧会は8月6日まで。入場料は一般で1500円。