富士フイルムは5月19日、インスタントカメラ「チェキ」の新作“instax SQUARE SQ10”を発売する。撮った写真をその場で印刷できるインスタントカメラとして一躍有名になったチェキに、初めてデジタル技術を搭載。SNSを意識した正方形のデジタル画面上で画像を加工した後に、アナログ独特の風合いで印刷ができる。市場価格は推定税込3万円前後。自動露出調整や人物検出、オートフォーカスといったデジタル機能が充実しており、フィルムでは得られなかった画像クオリティーを実現できる。
チェキといえば、これまでもブランドコラボやイベント活用など、ファッション業界と馴染みの深いアイテムでもある。30周年を迎えた「写ルンです」が若年層の間で再ブームになった一方で、2016年7月に発売されたスマホの画像をチェキ風に印刷できる「スマホ de チェキ」“instax SHARE SP-2”とともに、デジタルとアナログをうまくミックスした“ハイブリッドカメラ”にも注目が集まりそうだ。そんな話題沸騰中の“instax SQUARE SQ10”の機能を確かめるべく、サンプルを入手した。
READ MORE 1 / 2 本体の機能性を大解剖
外装を開けると本体の他に充電ケーブルとストラップ、バッテリー(内蔵)が入っている。フィルムは専用だが、別売り。本体を見てみると、側面にプリントモードの選択スイッチがある。撮影した画像をすぐに自動印刷するか、後でフォルダから選択して印刷するかを選べるようだ。充電は側面にある充電USB端子を使う。ちなみに3〜4時間のフル充電で約160枚の撮影ができるらしい。すぐ横にはマイクロSDカードの挿入口もあり、撮影画像をデータとして書き出せる。インスタ意識の正方形の画像なので、そのままSNSにも使えるのが今っぽい。しかも画像の画素数は1920ピクセル四方と、インスタにもバッチリ使えるサイズだ。
まずはフィルムを入れる。画面側のロックを解除するとフタが開くので、専用フィルムをはめて扉を閉める。1枚目のフィルム(感光防止用)が自動的に取り出され、撮影準備が整った。ここまでは非常に簡単だ。いざ、電源をつける。電源はレンズリングを回す仕組みになっている。映し出される画質はかなり良い。シャッターはレンズの上部に2カ所あり、どちらを押しても撮影ができる。シャッタースピードは29500分の1秒〜2分の1秒、ISO感度も100〜1600で自動検出されるため、知識がなくても使えるところも良い。
何も操作せずにシャッターを押してみた。オートモードに設定をしたので、撮影した写真はすぐに印刷された。撮影画像が上へスライドすると同時に、フィルムが出てきた。動作も非常に面白い。出てきたフィルムは従来のチェキと同様、時間が経つと絵が浮かんでくる仕組み。従来のチェキに負けないくらいシンプルな操作性で、撮影ができることがわかった。
READ MORE 2 / 2 加工クオリティーはいかに!?
次に画面操作を試してみた。画面下にたくさんのボタンがあり、最上部のボタンを押すと、撮影モードが出てくる。白黒の“Monochrome”や色あせた雰囲気を出せる“Sepia”、明るさを柔らかさを表現する“Roppongi”など、独特のフィルターが全部で10種類ある。ボタンを回すとモードが変わり、画面の加工された色味に変化するので、直感的な操作で加工ができる。右上のボタンを押すと明るさ調整ができ、左上のボタンは画像四隅の明るさ(ビネット)調整に使う。加工は撮影前後どちらでも可能なので、撮影・加工共に気軽にトライできるのが嬉しい。ただし、デジタル機器に画像を書き出した際には加工が反映されないらしいので、要注意。
機能は他にもたくさんある。ピント固定やセルフタイマー、フラッシュ撮影、1枚の写真に2回分の撮影を重ねる二重露光、シャッターを開きっぱなしにするバルブ撮影など、デジタルカメラ顔負けの機能性を兼ね備えている。9枚(もしくは16枚の)画像をまとめて1枚に印刷できる複数印刷機能まである。ただし、これらの機能は少し専門的で、ここまでの機能を使わなくても十分楽しめる。
数日間使用してみたが、操作性がシンプルなこと、加えて操作方法がインスタグラムに似ていることから、若年層とは非常に親和性が高い商品だと実感をした。チェキがデジタルになったというより、デジタルカメラにプリンターがくっついたという印象だった。欠点は画像内蔵メモリーが約50枚しかないこと。使っているうちにすぐに容量オーバーになってしまう。定期的に消すか、SDカードに移さなければいけないのが若干気になった。また、データをSDに移すとせっかくの加工が反映されないらしく、“ハイブリッドカメラ”として使うには不満足な部分もあるが、友人とSNS上で情報をシェアするように、“リアルなSNS”という感覚でカメラを使えば盛り上がるだろう。加えて、その場で印刷した写真を誰かにプレゼントしても手元にデータが残るので、ファッション業界恒例のイベントやパーティーでも活躍する場面は多くありそうだ。