伊藤忠商事・繊維カンパニーの2017年3月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前期比73.9%増の252億円だった。アパレル関連事業の不振や円高の影響で、売上高に相当する外部顧客からの収益は同9.3%減の5280億円になったものの、前期に大規模な減損処理を行った反動によって、純利益は107億円も増えた。
2日会見した小関秀一・繊維カンパニープレジデントは「実店舗がずっと低調で、非常に厳しい1年だった」と振り返った。先行きが見えない中、財務体質の強化を優先課題に掲げて抜本的なコストの見直しを図った。80以上の子会社や孫会社の経費や在庫を厳しく精査したことで、粗利益が減った中でも利益を積み増しした。子会社では「ポール・スミス」を展開するジョイックスコーポレーション、副資材の三景、中国法人の伊藤忠繊維貿易(中国)有限公司などの収益が堅調だった。
今期(18年3月期)は純利益320億円を計画する。成長が期待されるEC事業では、有力アパレルと組んだ専門ブランドを開発するとともに、繊維カンパニー主導で傘下ブランドの横断的な取り組みにも着手する。デサントと中国スポーツ大手、アンタとの合弁による中国での出店にも本腰を入れる。小関プレジデントは「さまざまなリスクの処理を先行させた結果、厳しい環境下でも安定成長できる基盤は整った。320億円の目標はよほどのことがない限り、確実に実行できるだろう」と語った。