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仏大統領選 マクロン勝利でファッション業界が祝福ムードに

 フランス大統領選の決選投票で中道左派のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)候補が、極右政党のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)候補を破り、勝利した。これを受けて、ファッション業界からは祝福のメッセージが相次いでいる。カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)は「私たちは皆、とても喜ばしく感じている。マクロンとブリジット夫人をよく知っているが、彼らは素晴らしい人たちだ」とコメント。ドイツ国民であるカールは今回の大統領選に投票していないものの、自身を「ヨーロッパ人以外の何者でもない」とし、ルペン候補について「あのひどい女性が当選すれば、ヨーロッパは終わりだっただろう」と語った。

 このほか、インスタグラムでも多くのデザイナーが喜びと安堵の声を投稿している。アルベール・エルバス(Alber Elbaz)は、マクロンの顔写真を並べ、たくさんのキスマークとともに「フランス最高(ViVA La France)」のメッセージを添えた写真を投稿。ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)「ロエベ(LOEWE)」クリエイティブ・ディレクターは、親指を立てたマクロンの写真を載せた。サイモン・ポート・ジャックムス(Simon Porte Jacquemus)は従兄弟のルイーズから送られてきた「僕の人生で最も美しい日/マリーヌは地獄に落ちる/フランス最高/私たちの自由」と書かれたメールを、「彼は15歳の幼い従兄弟/美しいメッセージ/国への愛」というコメントとともに紹介した。

 さらに、ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」アーティスティック・ディレクターは、マクロンのポスターを写した動画と合わせ、「投票 #emmanuelmacron #enmarche」とコメント。「ディオール ファイン ジュエリー」のヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌ(Victoire de Castellane)=アーティスティック ディレクターは、マクロンのイラストを「大統領(Le President)」というコメントとともに投稿した。このほか、コレット(COLETTE)のサラ・アンドルマン(Sarah Andelman)やジャン・シャルル・ ドゥ・カステルバジャック(Jean-Charles de Castelbajac)、イネス・ド・ラ・フレサンジュ(Ines de la Fressange)がインスタグラム上で祝意を表明している。

 ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(以下、LVMH)会長兼最高経営責任者(CEO)は、ファッション業界の要人としては初めてマクロンの支持を表明していた。アルノーCEOは5日に発行された仏経済紙「レゼコー(Les Echos )」で、「ルペン候補の保護主義は今日の経済や政治的混乱に対する解決策ではない」と痛烈に批判した上で、「マクロン候補の政策は希望への道筋で、民間企業が雇用創出の鍵となるという確信に基づいたもの。エマニュエル・マクロンに投票することに何のためらいもない」とコメントを寄せた。

 マクロン次期大統領はファッション業界との結び付きが強く、アルノーCEOの娘、デルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)ルイ・ヴィトン・エグゼクティブ・ヴァイスプレジデントのパートナーである、実業家のザビエル・ニールと親しいとされている。ブリジット夫人はマクロンの大臣時代、スタイルについて、デルフィーヌ・ヴァイスプレジデントのアドバイスを受けていたとされており、「ルイ・ヴィトン」をよく着用し、ショー会場に来場していた。

 なお、マクロン次期大統領はフランス史上、二大政党に属さない初めての大統領となり、第5共和制が始まって以降、39歳の最年少で大統領に就く。自ら立ち上げた政治運動団体「前進(En Marche)」は発足からわずか1年であることからも、異例の当選となった。マクロン次期大統領は7日夜、選挙本部で「長い歴史に新たな1ページが開かれた。フランスに希望と自信を取り戻したい」と勝利宣言。さらに、パリ・ルーブル美術館前の広場に集った数千人の支持者を前に登壇し、「フランスは勝利した。使命は巨大で、われわれは引き続き勇敢であることが求められるだろう。愛をもって役目を果たしたい」と述べた。

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