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伊勢丹新宿本店にも大ナタ、新社長が基幹3店の大改革を発令

 三越伊勢丹ホールディングスは、中長期戦略の柱として筆頭に掲げる百貨店本業の再構築の中で、これまで未着手だった伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店の基幹3店舗の改革に乗り出す。2017年3月期の決算説明会の中で、4月1日に社長に就任した杉江俊彦・社長執行役員が明言した。現状の最大の課題として、経費率の上昇を指摘。同業他社に比べて遅れている人件費の削減や、支店・地方店の構造改革にも着手する一方で、最大の利益減の原因である基幹店の収益力の低下に対して抜本対策を行う。

 杉江社長は「基幹店は当社において最大の収益源だ。本来なら今期は255億円の営業利益を生み出す計画だったが、結果は159億円。目標に対して96億円のマイナスだった。13年度の最高益時に比べて71億円下がっている」と指摘。その要因の筆頭として、「利益コントロール、コストコントロールができていなかった。利益が出ていたので経費について十分なコントロールをしないまま要員が増えていたり、販促費のコストが増えた」と説明。二つ目として「基幹店の一番やらなければならない目標の中に、新規の取り組みをいくつやるかが評価項目にあった。(進行する)多数のプロジェクトを処理するのに非常にメンバーが苦労していた。ざっと新体制で調べたら、大小200近い新規プロジェクトがあり、本業がおろそかになった。結果、本来やらなければならない構造改革が後ろ倒しになってしまった」。さらに、三つ目の要因として、「(強力に推進してきた)仕入れ構造改革が利益を引き下げる要因になった」と続ける。

 基幹店の改革策として、「徹底的な収益力強化、徹底的なコスト削減をしていきたい。ほとんど採算が上がっていない催事をやっていたり、人もたくさん入れたりと、コストに関しても甘くなっていた。リニューアルについても当初計画以上に予算を増額してしまい、回収が難しくなっているなど、いろいろ問題がある。徹底的に切り込んでいく」と断言。「新体制後、1カ月の間に、ミドルマネジメント以上と、個人としても60~70時間“対話”をした。その中で、基幹店のメンバーとも、この店はどうあるべきか、真剣に意見を出して」もらいつつ、「基幹店のあるべき方向性を再定義」した。

 新宿本店(17年3月期の売上高は2685億円、前期比1.4%減)については、「今までは“ファッションミュージアム”という形で取り組んできたが、ファッションミュージアムという言葉自体が分かりづらく、方向性が見えにくかった。ほとんどのマネジメント(職)が言っている」「新宿はいろいろな分散をした結果、店全体の価値も低下傾向にあるのではないかという危惧を全員で抱いている。もう一度修正していきたい」として、“本当のファッションの伊勢丹への回帰”を合言葉に掲げる。

 ファッションミュージアムと標ぼうしたことによる混乱の例として、リビングフロアだけで40カ所もプロモーションスペースがあり、月間に160~200の企画を考えなければならない状況に陥ったという。また、利益の出ていない催事などについても縮小する。リモデル後にステージやパークなどのスペースを設けて目新しい企画などを次々と打ち出してきたが、プロモーションの在り方も含めて修正を図る。

 三越日本橋本店(同1651億円、同1.9%減)については、「従来は“カルチャーリゾート百貨店”という表題で店を作っていくということだったが、全員の声を集めて話し合うと、そうではないよねと。もう一度、“富裕層とエグゼクティブに特化した店づくり”をしていく。今後、日本橋の周辺再開発も進んでいく。今もコレドなど再開発が進み、一般の方々やOLさんに目移りをしているところがあったが、もう一度日本で一番富裕層が集まる店にする」と軌道修正を図る。改めて、ラグジュアリーブランドや、宝飾・時計などを強化することになりそうだ。投資額100億円級のリモデル計画も修正し、後ろ倒しをする可能性もあるという。

 三越銀座店(同810億円、同5.0%減)についても、「“最旬グローバル百貨店”というわかりにくい表題だったが、銀座の街のあり方と、新宿と日本橋の間にある店として、“街のフラッグシップ”としての店作りをしていく。世界で一番人が集まる場所に店があるわけで、それを最大限に生かす」という。客数を生かして、買い上げ率の向上を図るといい、化粧品などを含めた雑貨の強化や、エントリープライスのアイテムの投入なども考えられそうだ。

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