LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON/ 以下、LVMH)傘下の仏老舗百貨店ル・ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)が6月中旬に立ち上げるち発表した新ECサイト「24 Sevres」の詳細が明らかになってきた。
「24 Sevres」は「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」をはじめとするLVMHグループの主要ブランドに加えて148のブランドを扱うECモールで、フランス語と英語限定の専用アプリをローンチする計画。「ルイ・ヴィトン」のウィンドウを手がけるフェイ・マクロード(Faye McLeod)LVMHイメージ・ディレクターが新サイトのデザインを担当する。店頭受け取りサービスやチャットサービスなども充実させる他、新サイトのために専門のバイヤーチームを組んで、ほとんどの商品が店頭とオンライン双方で購入できるオムニチャネルな環境を目指す。
LVMHグループ以外の「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」「クロエ(CHLOE)」「マルニ(MARNI)」「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」「メゾン キツネ(MAISON KITSUNE)」といったデザイナーズブランド、「バレード(BYREDO)」「ディプティック(DIPTYQUE)」などのビューティブランドも扱う上、ローンチに合わせて68ブランドとの限定カプセルコレクションを多数用意する。店頭でもカプセルコレクション発売に合わせたポップアップを実施するという。
エリック・ゴーグ(Eric Goguey)24 Sevres最高経営責任者(CEO)は、「まずはウィメンズウエアやアクセサリー、コスメを取り扱うが、メンズウエアやウオッチ、ファインジュエリーまで商材を広げ、堅調に成長させたい」と話す。24 Sevresには現在、エンジニアやカスタマーサービス、月間5万枚の撮影をする専任カメラマンなど、60人のスタッフがいるが、彼らはLVMH傘下にもかかわらず、24 Sevresをスタートアップ企業だという認識で日々サービス向上を目指しているという。
LVMHにとって新ECローンチにおいてリスクがないとはいえない。LVMHは過去に「e-Luxury」というECを開設し、失敗した経緯があるのだ。しかし、同社は「今回のサイト開設はデジタル施策の一角にすぎない」とデジタル化への意欲をのぞかせる。先日も自社の高級ワインとスピリッツに特化した新ECサイト「clos19」もローンチしたばかりで、今後もさらなるデジタル化を期待させる。イアン・ロジャース(Ian Rogers)LVMH最高デジタル責任者は、「EC事業を重視しないブランドはないし、ブランドごとに独自の戦略を考えている。『セリーヌ(CELINE)』は昨年ECを始めたところで、『ディオール』も『ケンゾー(KENZO)』もまさに発展途上にある」という。