ECが台頭し、取扱数量が増える一方で、再配達が増加し、宅配業者が悲鳴を上げる“宅配クライシス”の話題が急増している。宅配料金を引き上げる企業も増えており、ECの拡大を企業の重要成長戦略に位置付けるファッション企業への影響も懸念されている。そんな中、ソフトバンクグループの新規事業を手掛けるSBイノベンチャーが、AIを活用して早朝・夜間にネットショッピング購入商品を効率的に配達する新会社マジカルムーブ(MAGICAL MOVE)を5月24日に設立した。社名には、「eコマース市場の拡大と宅配便取扱個数の増加に合わせて、既存の宅配サービスを補完する新たな宅配の仕組みをテクノロジーの活用により構築し、『日本を世界一ネットショッピングが便利な国にしたい』という思いを込めた」という。
マジカルムーブが提供するサービスは「スキャッチ!(SCATCH!)」で、連携するeコマースサイトで商品を買うと、早朝(6~7時、7~8時、8~9時)、または夜間(21~22時、22~23時、23~0時)から1時間単位で商品の受け取り時間帯を選択できる。配送は提携する配送会社が担当するが、AIが提案する最適な宅配順序と必要車両数を専用管理画面で確認できるという配送サポートが受けられる。最短なら即日届けも可能で、利用客はマイページから地図上でドライバーの現在地を確認できるため、受け取り体制を整えることができる。これらにより、日中自宅を不在にすることが多い単身世帯や共働き世帯が不自由なく商品を受け取れるようにするとともに、再配達の減少とAI活用による効率的な宅配でドライバーの人手不足解消を目指す。
グループの新規事業提案制度「ソフトバンクイノベンチャー」から2015年6月に誕生したサービスで、従来はSBイノベンチャーが運営。アスクルが運営する個人向けインターネット通販サイト「ロハコ(LOHACO)」の配送の一部を担ってきた。今後連携するEコマースサイトを増やしていく方針。なお、5月24日現在では、サービス対象エリアは現在は東京だけだが、順次拡大予定だ。また、クレジットカード決済により購入された商品のみ対象としている。