三陽商会は2017-18年秋冬、コートの専門店やセレクトショップへの卸を本格化する。これまで百貨店を主販路にしてきた「サンヨーコート(SANYO COAT)」や「100年コート」「レインウール(RAIN WOOL)」「アンブレラコート(UMBRELLA COAT)」の新規チャネルの開拓を図る。
今季は、同社が1967年に発売したコートライン“ブルーフラッグ(BLUE FLAG)”を復活させる。第1弾として、「08サーカス(08SIRCUS)」や「キミノリ モリシタ(KIMINORI MORISHITA)」のデザイナーとして知られる森下公則と新たなコラボライン“キミノリ モリシタ + ブルーフラッグ(KIMINORI MORISHITA + BLUE FLAG)”を始動し、2017-18年秋冬、18年春夏の2シーズン販売する。従来の三陽商会のコートはきれいにプレスをあてた“キレイめ”コートが多いが、森下デザイナーとのコラボでは、やわらかな天日干しのシワ加工の風合いが特徴で、少しカジュアルな印象だ。メンズ3型、ウィメンズ3型をそろえ、価格帯は7万3000~8万9000円。5月25、26日にはバイヤーとプレス向けの展示会を銀座8丁目の三陽銀座タワーで行っている。
岩田功・三陽商会社長は森下デザイナーについて「モノ作りに真摯でこだわりが強く、メンズを中心に長いキャリアを持たれている。当社のセレクトショップ『ラブレス』でも森下さんのブランドを取り扱っており、つながりがあった。百貨店以外の新たなチャネルの開拓に向けた新ラインの最適なデザイナーと考えた」と話す。
森下デザイナーはコラボについて「3月にお話をいただいて、タイトなスケジュールでモノ作りをスタートした。実際に三陽商会が持つ青森のコート工場を見学し、その技術の高さに驚かされた。デザインではこれまで三陽商会のクオリティーをそのままに、“きっちり感”をいかに切り崩すかが課題だった。シルエットや加工でゆるく見せながらも、内側にテープやコバステッチを入れるなど見えない部分で、上質な仕上げになっている」と語った。森下デザイナーは、過去にユニクロとのコラボとして「KMコレクション」を販売した他、数シーズン「+J」のメンズのディレクションを行ってきた。
また、同社はコーポレートブランドに位置付けている「サンヨーコート」の他、シャツやカットソー、ニットを中心にする「サンヨー・エッセンシャルズ」、シューズブランド「三陽山長」の3ブランド事業を強化する。卸とECに注力し、2年後の18年には直営店3店舗を開く計画。16年の売上高7億円(三陽山長3億円、サンヨーコート3億4000万円、サンヨー・エッセンシャルズ6000万円)を、19年までに25億円(三陽山長7億円、サンヨーコート16億円、サンヨー・エッセンシャルズ2億円)にする目標だ。