ファッション

「コスチューム ナショナル」、新デザイナーに日本人を大抜擢

 「コスチューム ナショナル(COSTUME NATIONAL)」は、創業デザイナーのエンニョ・カパサの後任に「ファクトタム(FACTOTUM)」の有働幸司と「ヤストシ エズミ(YASUTOSHI EZUMI)」の江角泰俊を新クリエイティブ・ディレクターに起用した。メンズを有働、ウィメンズを江角が指揮をとり、ブランドを刷新する。2人による新生「コスチューム ナショナル」は2017-18年秋冬から日本と香港の直営店で販売し、18年春夏から卸を始動する。

 「コスチューム ナショナル」は1986年にイタリアで創業。2016年にエンニョと兄でビジネスを手掛けたカルロの退任を受け、CN ジャパンと日本の投資会社シークエッジインベストメントが同ブランドを運営していた伊企業イーシーの全株式を取得した。デザイナー不在の16-17年秋冬と17 年春夏はミラノの直営店を閉鎖し、海外での卸を一時休止。日本と香港ではCN ジャパンの下、デザインチームによってブランドを継続してきた。

 三河宏彰・社長は「エンニョはイタリア人でありながら日本に縁が深く、ヨウジヤマモトで経験を積むなど、イタリアと日本の感覚を持っていた。彼の後任はイタリア人か日本人を検討したが、(本国から事業を譲り受けたことをきっかけに)これまで30年間ブランドが築いてきたアーカイブを用いながら、現代のエッセンスを融合できるバランスのいい日本人デザイナーを探した」と話す。

 2人の起用理由は「有働さんはバランスのとれた人格者。『コスチューム ナショナル』をリスペクトしていて、『ファクトタム』で得意とする日本らしいリアルクローズの感覚を融合してほしいと思った。江角さんはイギリスでファッションを学び、ヨーロッパの感覚を持ち合わせているデザイナー。自身のブランドでは国際的な視点を持ちながら、日本らしい味を付けている。『コスチューム ナショナル』に新たな価値を加えてほしい」と語る。

 新デザイナーの2人はミラノ本社の30年間分のアーカイブを見て、2017年版の「コスチューム ナショナル」をデザインした。メンズは、アーカイブのテーラードスーツを、素材や色を変えて提案。デニムジャケットとジーンズは、ブランドのDNAであるミリタリーの側章を入れ、ペイント風の加工を施した。ウィメンズは、ミリタリーやテーラード、ロックの要素が入った1998年のアーカイブを元に、背中にファスナーのディテールを加えたライダースジャケットなどを発表した。生産は皮革製品やテーラードをイタリア、それ以外を日本中心に行う。

 有働は1971年熊本県生まれ。89年に東京モード学園で学び、92年にビームスに入社。退社後にロンドンに留学。98年に帰国後に国内ブランドの立ち上げに携わる。04年に「ファクトタム」をスタート。06年9月に東京コレクションに初参加。17年アダストリア「フォードット」のクリエイティブチームに加わる。

 江角は1981年広島県生まれ。2008年セント・マーチン美術大学を卒業後、「アレキサンダー・マックイーン」や「アクアスキュータム」で経験を積む。10年に「ヤストシ エズミ」をスタート。12年「アンテプリマ」とのコラボコレクションをミラノで発表。14年にはそごう・西武のプライベート・ブランド「リリシスト by YE」を始動した。

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