日本全国の皮革関連企業57社で構成される共同組合資材連は5月25日~26日の2日間、東京・浅草の都立産業貿易センターで第96回東京レザーフェア(以下、TLF)を開催した。同フェアは国内企業を中心に、毎回150社以上の皮革関連企業が出展しているレザーと関連資材の見本市。中でも注目は、前回から実施しているデザイナーとのコラボレーション企画だ。同企画はデザイナーとコラボレーションしたい企業から素材の提供を募り、その中からデザイナーが選定した生地でコレクションを制作して発表するというもの。前回の「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」に続き、今回は同ブランドのデザイナーで自身のブランド「ジェニー ファックス(JENNY FAX)」を展開する台湾出身のシュエ・ジェンファン(Shueh Jen-Fang)を起用した。完成作品は12月6、7日に開催される次回のTLFでお披露目される。
今回ジェンファンが選定した企業は、三重県の松本企画事務所、東京の久保柳商店と墨田革漉工業の3社。特に松本企画事務所はいち早く使用を決めた。ジェンファンは「型押しした上からハンドペインティングで模様が描かれており、スペシャル感がある。花柄が超かわいい」と選んだ理由を話す。松本企画事務所は、化学品関連の商社出身の松本和彦・社長が1993年に立ち上げたタンナーで創業当初からデザイン性の高いレザーにこだわってきた。「マイセンの陶器や京都の着物を見て、その色の深みに感動した。レザーは色がなかなか定着しないと言われるが、なんとか同じような深みを出せないかと試行錯誤を重ねた」。今回、コラボ企画の応募締切日には間に合わなかったが、事務局からぜひ出てくれないかとオファーがあり「夜なべをして新しい生地を開発した」。松本社長自ら色を調合し、色つけは自社のベテラン職人が手掛ける。松本社長に選ばれた感想を尋ねると「選ばれないよりは選ばれる方がうれしい」と照れ笑いで答えた後、「私たちのこだわりや、作業の丁寧さ、細かさといった部分を理解していただけてとてもありがたい」とコメントした。
毎回テーマとなる映画を決めてからコレクションを考えるというジェンファンは、このコラボ企画の題材となる映画について「決まっているけどまだ言えない」とコメント。全体のテーマについては「普段は“死”とかの暗いテーマを選ぶことが多いけど、今回はポジティブなイメージにする。若いデザイナーにとってレザー使いのヒントになるようなクリエーションにしたい」と話した。ロリータ系のワンピースやウエスタンブーツなどを制作する予定だという。