ファッション

必見!フォロワー数日本一 渡辺直美に聞くインスタ活用術

 「WWDジャパン」5月29日発売号「雑誌特集」の10〜20代前半を対象に行なったアンケートの中で、フォローしているインスタグラムアカウントでダントツの1位を獲得したのは“@watanabenaomi703”。日本一のフォロワー数を誇る、お笑い芸人の渡辺直美だ。フォロワーからは、ファッションの支持もさることながら「写真の加工が鮮やか」「ハッシュタグが面白い」などの声が挙がった。現時点でフォロワー数は、驚異の670万人。写真の採光やアングル、プロ顔負けの構図にユーモアたっぷりのコメントなど、インスタ投稿の秘策に迫る。

WWDジャパン(以下、WWD)アンケート結果では、鮮やかな写真加工や構図を支持する意見が多かった。

渡辺直美(以下、渡辺):加工や構図よりも、コメントしやすい写真を撮ることがベストだと思います。一番意味が分からないのは、何を言いたいのかが全くわからない写真。例えば「香港に来ました!」って、フレームいっぱいに自分の顔が収まっているセルフィーを載せても、そんなの新宿で撮れるだろうと(笑)。肝心の背景が見えないと意味がないですよね。香港に来たら夜景を撮るくらいはしなきゃ。オーストラリアに行ったら、カンガルーと一緒に撮れば良いんです。一発でオーストラリアに来てるのが分かる。まず、写真をアップする明確な意図が伝わらないとダメ。

WWD:では、どんな意図でインスタに写真をアップしているのか?

渡辺:完全にサービス精神ですね。SNSは完全な自己満ですけど、鍵をかけていない限り、世界中の人に見られる可能性があるということを常に意識してアップしています。そうすると炎上することもないでしょうし、多くの人から“いいね”を押してもらえる。その意味で、私は食べ物をアップしないんですよ。だって、私が何を食べてるかなんて誰も興味がないから。その人に興味があるのに、食べ物で埋め尽くされたインスタを見るとショックなんですよね。以前、そのことをテレビ番組で話したら「別にいいじゃん食べ物を載せたって」と言われまして。否定はしませんけど、私は載せないっていうだけ。SNSを続ける理由は、世界中の人に見てもらいたいからですよね? だったらそこにサービス精神がなきゃ。

WWD:渡辺さんが考えるサービス精神とは?

渡辺:どんな情報だったらみんなが喜ぶかを考えます。写真がきれいとか、元気をもらえるとか、落ち込んでたけど楽しい気持ちにさせられるようなSNSを目指しています。

WWD:何がインスタの写真の参考になるか?

渡辺:雑誌を参考にすることはあります。媒体ごとに撮り方が異なるので、プロのフォトグラファーは、被写体を見た時点でアングルや構図を決めて、その魅力を最大限に引き出す。だから、洋服やメイクによって撮り方が変わるじゃないですか。見せ方は、やっぱりプロに学ぶことが多いです。だって、メイクにフォーカスしたいのに、思い切り引いては撮らないですよね。

WWD:作文風のハッシュタグもおもしろい。

渡辺:実は文章にも力を入れています。写真を最大限に活かす方法は、何を見てもらいたいのかハッシュタグで説明することだと思っています。そこから先はどう突っ込んでいただいても結構です。

WWD:国内外のフォロワーからは、ポジティブなコメントが多い。

渡辺:優しさを持つことが大切ですよ。SNSには悪いコメントを簡単に投稿できるし、それが当たり前な風潮になっているのが不安で良くない。SNSは根本的に2面性で、「かわいい」「おしゃれ」「元気をもらえる」などのポジティブと、「誰々が嫌い」のような悪口が伝染していくネガティブな側面があります。陰と陽があるので、私は“陽”であり続けたい。悪口をコメントしてる人は、その時点で人間力を下げていることに気付くべき。

WWD:写真の話で、6月に発売する写真集は何がきっかけになったのか?

渡辺:昨年、芸人生活10周年を迎えてワールドツアーをしました。自分のことを知らない人の前でネタをするのは、初舞台以来だったので新しいチャレンジでした。ありがたいことに、日本ではある程度認知してもらえるようになりましたが、アメリカじゃ「誰だこいつは?」ですから。デビュー1年目の目標は舞台に立つこと。その後はひたすら“人を笑わせる”ことにこだわってきました。10年たって、新しい挑戦をするならワールドツアーと思い、10年間で出会ったスタッフや友達と回ろうと考えていました。ファッションピープルに音楽関係者、ダンサーもみんな引き連れて行ってきました。その中で、全員の思いや働いている姿と素の私を見て欲しいと思ったのがきっかけですね。

WWD:なぜ、素の自分を見て欲しいと思ったのか?

渡辺:最近「優しそう」とか「怒らなそう」という良い人過ぎるイメージが付いてきたので、それはまずいと。この前、普通に街を歩いているだけで「笑ってねーじゃん、感じ悪!」って言われたんです。「全然笑ってなーい、何かヤダ」とも。1人で街を歩いていて、常に笑ってる人の方がコワイじゃないですか。マネジャーを叱っている時も「怖い」と言われて、でもそれが仕事ですからね。加工が多い世の中なので、私の人間らしい姿を見せたいと感じました。

WWD:フォトグラファーに新田桂一を指名した理由は?

渡辺:レディー・ガガ(Lady Gaga)の写真集を持ってるんですけど、ライブの躍動感とか、彼女の内面から出る表情の強さが写真からビシビシ伝わってきた。その写真を撮ったのがテリー・リチャードソン(Terry Richardson)。新田さんの師匠に当たる方ですよね。新田さんの作品を見たら本当に素敵だったので、馬鹿なふりしてオファーをしたら受けてくださって。ワールドツアーの舞台裏とか、ミラノ・コレクションに行った時の様子を撮影してもらいました。生々しい私の感じがぎっしり詰まっています。肌荒れや鼻毛も惜しみなく披露しています(笑)。

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