京都に本社を構えるワコール(WACOAL)が、京町家・古民家を活用した宿泊事業に参入する。来春2~3軒の宿泊施設の開業を予定。5年後には、京都市内で50前後の施設運営を目指している。その後は京都府内や他府県での展開も視野に入れている。これは2013年にスタートした新市場や事業拡大の取り組みを目的とした新規事業社内提案制度の一部。京町屋の保全・活用による地域経済の活性化と宿泊者向け体験プログラムを通じた京都の歴史や文化、伝統の浸透が目的だ。
ワコールはグループ会社でスパイラル(SPIRAL)を運営するワコールアートセンター(以下、アートセンター)と連携して同事業を行う。ワコールが行政や不動産会社を通して京町家所有者と賃貸契約を行い、施工や宿泊事業の運営を担当。アートセンターはリノベーションに関する意匠やデザイン、各種サービスなどのディレクションを行う。
宿泊に関しては、リノベーションした町屋一軒を丸ごと提供。大きさは1~2家族が宿泊できる程度で、予約は自社サイトと外部サイト両方を通して管理する予定だ。宿泊以外にも、町屋の雰囲気に合う雑貨などの物販やカフェなどの運営、町歩きなどの体験プログラムなどの提供も予定している。エアビーアンドビー(AIRBNB)などの民泊・体験サービス企業との差別化は、アートセンターによるこだわった内装や、現代アートとのコラボレーションなどを通して行う。
京都の景観を特徴づける町屋だが、所有者の高齢化に伴い老朽物件や空き家が増加しており、深刻な問題になっている。一方、国内外からの観光客は増加しており、京都の宿泊施設は慢性的に不足している。