繊維機械のIoT(インターネット・オブ・シングス=モノのインターネット化)が一気に進展しそうだ。ニット機大手の島精機は、縫製を必要としない最新鋭編み機「ホールガーメント」を軸に、デザインソフトやIoTを駆使した生産管理システムまでを、1〜2年以内にすべてクラウド化する。
「ホールガーメント」は、糸をセットするだけで、そのままアパレル製品を製造できる最新鋭のニット機。複雑な生産機構を持つため、これまで編み地やウエアの設計をする場合、同社のデザインソフトはユーザーのニット工場が再調整する必要があった。クラウド化により、編み地やウエアの設計は全ユーザー単位での共有も可能になるためバリエーションが一気に広がる上、デザインから生産、さらには生産管理までが、クラウドのネットワーク上で管理可能になる。島三博・次期社長は「1〜2年でも遅いくらいだ。早ければ10年後には、消費者が自分で欲しいものを作る時代になる。それが究極の消費者満足であり、ソリューションであり、エコだと考えている。天才発明家と言われた父(島正博・創業者兼現社長)とは違い、今後は社員一丸となってファッション業界の課題を解決していく」と語った。和歌山市内にある同社の本社で行った記者会見で明らかにした。
同社は3Dデザインが可能なデジタルCADも開発しており、最もデジタル化の進んだ繊維機械だった。昨年にはユニクロとの間で合弁会社を設立し、「ホールガーメント」機を使ったウエアの企画・生産もスタート。島正博・現社長は「いずれは糸のセットも含めた全自動化にも取り組む」と、アパレルとしては前人未到の全自動生産の検討も始めていた。
島次期社長は、こうした機械のデジタル化&自動化をより一層加速するため、ソフトウエアや「ホールガーメント」機のIoT化を進める。