スタートトゥデイが運営するファッションECモール「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」は年間の商品取扱高が2000億円を突破し、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長している。ビジネス関連のニュースはもちろんのこと、アートに造詣が深い前澤友作・社長がバスキアを124億円で落札するなど、常に話題に事欠かない。そんな同社には、幕張に住むことで毎月5万円が支給される“幕張手当”があり、実際に社員の多くが千葉に住む。しかも、ほとんどがバス・自転車通勤というローカルに根付いた新しい形の企業でもある。そんな「ゾゾタウン」で唯一、自社発信型のコンテンツを届けるメルマガ・SNS担当の井上沙紀スタートトゥデイEC事業本部(以下、井上)に働き方を聞いた。
WWD:主な業務内容は?
井上:自社で運営するツイッターやフェイスブック、インスタグラムといった公式SNSアカウントの運用をするチームにいます。毎日3〜5つの特集コンテンツ・切り口を考えて配信する仕事です。会員用のメルマガでも同じようにコンテンツを配信するので、そちらのネタ作りもしています。
WWD:例えばどんなコンテンツがありますか?
井上:これからの季節ならレイングッズをまとめたり、売れ行き・トレンドを発信したり。最近だとポロシャツやオープンカラーシャツなんかが人気なので、オススメ商品として紹介したり。また、商品ありきではなく、例えば「合コンに来ていく服」など、自由なテーマを決めることもあります。時期にもよりますが、GWの特集は前から仕込んでいたり、突然雨が降ったら天気に対応したツイートをしてみたり、タイムセールをゲリラ的にやってみたりと臨機応変にやっています。なんとなく、お店のマネキンを変えるようなイメージの仕事です。SNS別では、ツイッターが比較的ユルめのコンテンツを出すもの。インスタグラムは更新頻度が低く、直接リンクが飛ばせないこともあるので、即完売しそうなアイテムの事前告知に使ったりしています。
WWD:目標数値などはあるんですか?
井上:フォロワーを増やすためのリツイートキャンペーンなどをやることはありますが、SNS経由の売り上げ目標などが決まっているわけではなく、フォロワーに楽しんでもらえるコンテンツというところに主眼を置いています。なので、コンバージョンよりセッション重視です。どうしても主観が入ることもありますが、できるだけどんな方が見ても楽しめるように心がけています。
WWD:SNS担当だと常に気を抜けないのでは?
井上:知らない間にSNSの機能改修によって、適切な画像サイズが変わっていた時などはびっくりします(笑)。でも、そんなことは日々あることなので、ヒヤヒヤすることは多いですが、この仕事の宿命だと思います。ずっと綱渡りをしている気分です(笑)
WWD:でも、その分やりがいも感じる?
井上:もちろんです。サイト全体を見ればたくさんのブランドがあることはわかりますが、SNS上で新しい目線でキュレーションできる点にやりがいを感じます。SNSで引用リツイートをしてもらえたり、「欲しくて2枚買っちゃった」などのコメントを見るとうれしくなります。ウェブ販売員みたいな気分です(笑)。
WWD:気分転換はどうしていますか?
井上:仕事柄普段はあまり外に出ないので、買い物に行ったり、友だちと話しに展示会に言ったり。服が好きだから休みの日でも外に出たくなっちゃうんです(笑)。そうやってまたネタを見つけて仕事に活かしたり。プライベートと仕事の境界線はあまりないですが、好きでやっているので、気になりません。
WWD:デスクにいることが多いと思うのですが、何か会社での息抜きはありますか?
井上:以前、株主に配った当社マスコットキャラクター“箱猫マックス”の人形が余っているからといただいて、4匹デスクに置いてるんですが、これを見ていると癒されるんです。地味に首が揺れるんですが、デスクトップの上に置いていて、疲れたらパソコンを動かして揺れるネコを見ています(笑)。
WWD:今後の目標は?
井上:今は世の中のトレンドに寄り添う形で商品訴求をすることが多いのですが、「ゾゾタウン」としてのトレンドを作っていきたいんです。「ゾゾが出していて流行った」みたいなことになれば本望です。自社商品を紹介しているという意味では、「ゾゾタウン」のプレスルームのようなポジションを狙って、色々とチャレンジしている最中です。
WWD:そもそも、どうしてスタートトゥデイに入ろうと思ったのですか?
井上:もともとアパレルに入るつもりもなく、幅広い業界で就活をしていたのですが、国際フォーラムでスタートトゥデイの就職説明会を聞いた時、前澤社長が「最後に僕の好きな曲をかけます」と言ったんです。それがMr.Childrenの「彩り」という曲だったんですが、まさかの大好きな曲で。当時バイトに行く時に毎日聞いていた曲だったので、直感的に「ココだ!」と思いました(笑)。実際の入社試験の時、攻めてみようと思って自己PRに「1社に1人どうですか?」と書きました。そうしたら内定が決まったので、この会社はそういう遊び心をわかってくれる会社だと思いました(笑)。もともと買い物が大好きで、学生当時もお金のかけ方がおかしいくらい洋服を買っていたので、そういった意味でも自分にぴったりな企業だと思いました。
WWD:では、今の仕事は自分に向いている?
井上:ECモールなので、いろんなブランド・アイテムが集合してきます。特定のブランドが好きではなく、広く買い物が好きだったので、まさにぴったりでした。SNSも好きだし、雑誌を読むことが好きだったので、特集を組むという意識は昔からありました。今の業務内容もとても向いていると思います。
WWD:この仕事はどんな人に向いていると思いますか?
井上:真面目に楽しく仕事ができる人です。見る人は楽しみを求めているので、もちろん仕事なんですが、楽しんでやらないと楽しいテキストになりません。仕事をプライベートに近づけるイメージです。この仕事のいいところはフランクにできること。その分、普段からアンテナを張っていなければいけません。
【自分の仕事 5段階評価】
「報酬以外全て5。やりがいは無限です。報酬はもっと上がる余地があるという野望を込めて4」