中目黒のザ・ワークスで6月29日まで、インスタグラムで人気のビンテージショップがリレー形式でポップアップショップをオープンする。参加するのは「ノエル・ビンテージ(NOEL VINTAGE)」(6月2~9日)、「ユーワー(EWER)」(9~15日)、「ソリス・ビンテージ(SOLIS VINTAGE)」(16~22日)、「ロスト・アンド・ファウンド(LOST AND FOUND)」(23~29日)の計4店舗。初日の2日にはレセプションパーティーが開催され、各ショップがセレクトした花柄アイテムが展示販売された。今回の企画をトランジットクルーと共にとりまとめた「ソリス・ビンテージ」の今出川あつみオーナーは「花柄アイテムはプリントや刺しゅう使いなど、年代やトレンド、国によって雰囲気が全く異なる。ビンテージならではの風合いと各ショップの個性が一番出やすい」と話した。
各ショップのオーナーは26~33歳。老舗の古着店員やIT関連など前職はさまざまだが、いずれも「自分が好きな服を販売したい」という思いでショップを立ち上げた。出店者は主催のトランジットクルーが「社員の知り合いをたどって選定した」(渡邉桂志・トランジットクルーCEO)が、オーナー同士ももともと知り合い。「ロスト・アンド・ファウンド」の菊地舞オーナーは、「同年代ということもあって、共通の友人がいたり、イベントで一緒になったりするうちに仲良くなった」と話す。老舗の古着店の中には長年販売員を務めないとバイヤーになれないなど上下関係が厳しいと言われる店もあるが、オンラインやイベント出店をメーンとした小規模運営のショップが増えていることで横のつながりが深まっているという。
オーナーと同世代の女性客が増えているのもビンテージブームを後押しする要因だ。2年前に実店舗をオープンした「ノエル・ビンテージ」の井上沙矢香オーナーは、当初に比べ古着好きの年齢層が広がっていることを実感するという。「以前は10~20代の女性が多かったが、今は30~40代のお客さまも来店される。幼稚園に子どもを預けている間に来られる方もいる。高くても一点物に価値を見出す方が増えている印象がある」。出店者の中で唯一男性の吉川和彦「ユーワー」オーナーは「新品では見られない素材使いやデザインがウィメンズの古着の魅力。手仕事の鬼という感じがする」と話す。手刺しゅうのレースガウン(約3万4000円)など、こだわりのある商品をそろえている分値段は安くないが、「売り上げは徐々に伸びている」。先日仙台で開催したポップアップショップも好評で第二弾の開催も決定しているという。
来場者の中には自身のビンテージショップ立ち上げを間近に控えた女性もいた。30代前半の佐藤友美さんは8日に「ヌード・ビンテージ(NUDE VINTAGE)」をオープンする。インスタグラムには販売前の商品を掲載しており、フォロワーはすでに2000人近くに上る。スタイリストやサロン向けに販売前の商品を無料でリースするなど、独自の宣伝戦略も光る。「最初の一年はオンラインとイベントでの販売をメーンにする予定」と佐藤さん。インスタグラムのメーンユーザー層と重なっていることもあり、今後も30代女性の古着ブームは続きそうだ。