真夏に向け忙しくなるこれからの時期。疲労と緊張の蓄積は心理的に不安定になることがあるため、適度にリフレッシュすることが大切だ。ゆっくり休む時間がないほど忙しい人、運動をする時間もままならない人は、香りを上手に取り入れてみてはどうだろうか。香りを感知する嗅覚は五感の中で唯一脳につながっていて、特に自律神経を司る視床下部とも密接な関わりがあるため、香りで気持ちを切り替えたり、心を落ち着かせるのに有効だといわれている。
疲労快復にも香りは力を発揮する。「疲れている時は、とにかく睡眠が一番です。良質な睡眠をとるためにも、寝る前にリラックスして副交感神経を優位にさせると良いでしょう。また、血流を促すことも大切で、立ち仕事で足が疲れている人はお風呂上がりにアロマオイルを使って鼠蹊部(足の付け根)を揉むと良いですよ」と語るニールズヤードレメディーズの長澤さゆりセラピストトレーナーに、オススメの香りを教えてもらった。
■ネロリ
「ビターオレンジの花から抽出される、とても上品な香りの精油です。ストレスでピリピリしている神経を穏やかに優しくしてくれます」。肌にも良いとされ、エイジングケアとしても注目を集めるネロリ精油。ストレスや疲労で体のこわばりを感じている時は、精油をブレンドしたアロマオイルを使ってデコルテをマッサージするとベスト。
■ラベンダー
「鎮静の精油。リラックスしたい時には最適で、交感神経が高まっている時にオススメです」。ブレンドするならば、同じくリラックスパワーを持つ優しい香りのカモミールがオススメ。
■フランキンセンス
「集中力を高め、混乱している頭を静かに、クリアにしてくれる香りです」。紀元前から神への捧げ物や瞑想などの儀式で使われていたフランキンセンスは、ウッディーで深みのある香り。精油に含まれている成分は呼吸器系にも良いと言われている。
■スイートマジョラム
「スッキリとした気分と鎮静を与えてくれ、昼にも夜にも使える便利な精油です。また、便秘気味の時のマッサージにもオススメです」。スイートマジョラムは副交感神経を活発化させる作用の他、緊張による心身のこわばりを解きほぐす力があるとも。
アロマポット等を持っていなくても、手軽に香りを楽しむことはできる。特に時間がない人にオススメなのが、ティッシュペーパーに精油を1滴垂らす方法。就寝時に枕元に置いたり、オフィスで精油を垂らしたティッシュペーパーをデスクに置いたり、バッグの中に忍ばせたりと、さまざまな楽しみ方ができる。
オーガニックコスメブームで精油の力にも注目が集まっているが、日々の疲れを癒やす“香りのパワー”はさまざまな取り入れ方がある。最近では男性のファンも増えているという精油を使った気分転換。今後もますます注目されそうだ。