PROFILE:1993年生まれ、埼玉県出身。建築家やエンジニアなどのクリエイターに興味を持ち、大学時代には情報科学科でプログラミングを学ぶ。大学入学前に友人に憧れてカメラとインスタグラムを始め、今や6万人以上のフォロワーを抱える人気インスタグラマーに。内定をもらっていたデジタル広告会社を断り、スナップマートに入社した。現在はフリーとしても活動しており、撮影の仕事や「ハナコ」「ヴィヴィ」などの連載執筆も手がける
インスタグラムに投稿する写真を企業向けに販売できる写真SNS「スナップマート」を手がけるスナップマートの新卒社員・川北啓加(以下、川北)は、インスタグラム(@moron_non)で6万人以上のフォロワーを持つインスタグラマーでもある。週5日会社で働きながら「ハナコ(Hanako)」や「ヴィヴィ(ViVi)」でも連載を持つ多忙な彼女に、今どき兼業のあり方について聞いた。
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WWDジャパン(以下、WWD):カメラに興味を持ったのはいつですか?
川北:大学浪人時代に出会った友人が一眼カメラを持っていて、彼女の写真がとても好きで。聞くとインスタグラムに写真を載せていると聞いて、私もインスタグラムを始めて、すぐにミラーレスカメラを買いました。それからインスタ映えする“女子カメラ”にハマり、平日は大学でプログラミング、土日は友だちとインスタグラムのための写真会という日々でした。写真を上げているうちに気付けば自力で2万人くらいまでフォロワーが増えました。
WWD:インスタグラムのフォロワー数が非常に多いですが、どうやってここまで多くのファンを獲得できたのですか?
川北:インスタグラムが台頭する前から「どうすればタイムラインが美しいか」「いいねを獲得できる投稿はどんなものか」を考えていました。始めてから2〜3年で2万フォロワーを獲得できました。一番フォロワーが伸びたのは、インスタグラムのおすすめユーザーに選ばれた時。新規登録ユーザーに公式おすすめアカウントとして表示されるというもので、1日で2万〜3万フォロワーが一気に増えました。その後も毎日数千人増えるという日が続きました。
WWD:フォロワーを増やすコツはあるんですか?
川北:狙っているわけではないのですが、ハッシュタグ検索をした時に表示される人気投稿に選ばれるとフォロワーが増える傾向にあります。特に地名のハッシュタグが見られることが多いのか、「いいね」もフォロワーも増えるような気がします。私も普段は平均2000くらいの「いいね」がつくんですが、山口県で撮影した写真がハッシュタグからの流入もあって過去最高の6000以上の「いいね」を獲得しました。今もハッシュタグは複数つけるようにしていて、いくつかテンプレを用意して写真によってカスタムして使っています。
READ MORE 1 / 2 インスタグラマーから会社員へ
WWD:インスタグラムをビジネスとして考え始めたのはいつ頃ですか?
川北:大学2年の頃、仲のいいインスタグラマーがカメラマンとして「WWDジャパン」と「カルティエ(CARTIER)」のプロジェクトの撮影をすると聞いて、アシスタントとして現場について行かせてもらいました。その時にフォロワーが多いことを買っていただき、アドバイザーという形でプロジェクトのバズらせ方を一緒に考えるという仕事をいただきました。その後、インスタグラムを活用したタイアップやキャンペーンが増える中で、「もっとこういう活用をすればいいのに」と思うことがたくさんありました。これがきっかけでデジタル広告に興味を持ち、就職活動でもPR会社と広告代理店を志望しました。そして、大学4年の5月にはデジタル広告の会社から内定をいただきました。
WWD:今の会社の社長でもある江藤美帆スナップマート最高経営責任者(以下、江藤CEO)との出会いは?
川北:江藤CEOが私のSNSを知ってくださっていて、就職活動を始めた頃にダイレクトメッセージをくれました。実際にお会いして、江藤CEOが始めようとしていた「スナップマート」というサービスが面白そうだと思い、業務委託契約でお手伝いをすることになりました。仕事は就職活動と並行して2カ月くらい続けました。内定が決まったタイミングで再び連絡をいただき、会うことになりました。久しぶりに会うとCOOも一緒にいて、会うなり「他の会社に決まったのは承知で言うけど、ウチに来ない?」と勧誘されたんです。
WWD:内定が決まった会社を断ってまで今の会社を選んだのはどうしてですか?
川北:もちろん悩みました。でも、規模感が大きい会社では入社して実際に何をするのか、どんな部署でどんな人がいるのか分からないじゃないですか。江藤CEOのところにはまだ社員が2人しかなくて、働いた経験もある。やること、できることが明確だったので、スナップマートを選ぶことにしました。
WWD:スナップマートでの業務内容を教えてください。
川北:マーケティングを中心にサービスの営業から問い合わせのサポート、自社SNSの運用までなんでもやります。直近では6月にサービスが1周年を迎え、24日の記念イベントの準備を進めています。一般参加型の撮影会を「ブックアンドベッドトウキョウ(BOOK AND BED TOKYO)」を貸し切ってやるのですが、企画書を書くところから全部やっています。人数限定のイベントですが、順調に人数も集まっています。
READ MORE 2 / 2 なぜ兼業の道を選んだのか?
インスタグラム(@moron_non)
もっとも多い「いいね」を獲得した投稿
「#箱根」の検索結果。人気投稿に選ばれると、常に上位に表示される
WWD:フリーとしてのお仕事はどんなものがありますか?
川北:主に4種類あって、1つがインフルエンサーとして商品やお金をいただいて投稿をするものです。もう1つは、ミュージシャンやモデル、訪日外国人を撮影するフリーランスフォトグラファー。学生時代にたくさんやっていて、今も当時の口コミから個人的にメッセージをくれて、写真を撮ることもたまにあります。残り2つは連載ものです。「ハナコ」の紙面でトラベルフォトグラファーとして4人で連載を回していて、2カ月に1回旅に関する記事を書いています。もうすぐ新しいウェブの連載も始まります!また、「ヴィヴィ」では、最近選ばれたばかりなのですが、「ヴィヴィガール」として企画に参加するお仕事があります。
WWD:実際、フリーの仕事だけでやっていこう思えばやっていけるものですか?
川北:入社前に少し考えていましたが、インスタグラムの投稿案件でやっていくのは少し怖いと思っていました。インスタグラムがなくなってしまえば終わりだし、でも、そこで培った撮影ノウハウを生かした仕事ができればいいなと思っていたんです。だから、「スナップマート」のようなサービスがあって、追加でノウハウを活用して稼ぐことができればやっていけるのではないかと思います。自分はまだ社会人経験が全くないので、すぐにフリーになるということはなく、まずは視野を広げるためにも今のスタイルで頑張ろうと思っています。平日働いて、土日好きな写真の仕事をしようと。
WWD:これからの目標はありますか?
川北:好奇心旺盛なのでライティングもマーケティングもいろいろとトライして、いろんな分野を広げたいんです。もちろん、インスタグラムだけでやっていこうとは思っていません。その中で深掘りしたいことが見つかれば、何かの分野に特化した人間になりたいです。
【自分の仕事 5段階評価】
「写真の仕事がプライベートのようなものですが、プライベートは全然ありますよ!土日はきちんと遊べています」