映画「東京喰種 トーキョーグール」が7月29日に公開される。同作は、累計2200万部を発行する人気コミック「東京喰種 トーキョーグール」(集英社刊)を実写映画化したものだ。窪田正孝が主演を務め、清水富美加、鈴木伸之、蒼井優、大泉洋らも出演する。物語の核となる人を喰う怪人グール(喰種)は、普段の生活では人間と区別がつかないが、人間を捕食する際や喰種捜査官と戦う時など、喰種特有の目が赤く変化する赫眼(カクガン)という状態になるため、身元を隠す目的で特徴的なマスクで顔を覆っている。森川マサノリ「クリスチャンダダ(CHRISTIAN DADA)」デザイナーが、マスクをはじめ、同映画で複数の衣装を製作した。自身のブランドのほか、レディー・ガガ(LADY GAGA)のライブ衣装などを手掛けたこともある森川デザイナーに、製作時のエピソードを聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):「東京喰種 トーキョーグール」の衣装を手掛けた経緯は?
森川マサノリ「クリスチャンダダ」デザイナー(以下、森川):製作サイドから直接連絡をいただき、その後実際に監督にお会いして話が進みました。映画衣装の製作は初めてでしたが、萩原健太郎・監督や出演者のイメージとデザインをすり合わせながら作り上げていきました。
WWD:衣装製作でこだわったところは?
森川:窪田正孝さん演じるカネキのマスクは、怖さを出すことにこだわりました。素材は「クリスチャンダダ」らしくオールレザー。キバの部分は、本物のサメの歯から型抜きし、当初のデザイン案に納得がいかず、3、4回作り直した末に完成しました。グールが捕食する際に用いる武器である赫子(かぐね)をイメージしたムカデのような赤いラインや、背骨を模したシルバーのデザインなど、原作とあえて差異をつけているところもあります。カネキの戦闘服は、あくまで大学生の設定から外れないように意識しました。首まで隠れるジップは、カネキの根暗な性格を反映しています。自身のブランドやグールを駆除する特殊部隊CCGの衣装では100点のデザインを心がけていますが、ここではあえておしゃれになり過ぎないように70点くらいのデザインを目指しました。
WWD:印象に残っている製作中のエピソードは?
森川:CCGの真戸を演じた大泉洋さんは、演じる上でキャラクターのイメージをかなり深く考えていらっしゃったのが印象的でした。リクルートスーツなども試しましたが、大泉さんと話を重ねていく中で、はみ出し者の真戸はきれいな服を来ていないはずだということになりました。その結果、ビッグシルエットでくたびれた印象のレザーを使ったりと大泉さんの意見を盛り込みながら制作していきました。
WWD:「クリスチャンダダ」のブランドカラーは衣装に取り入れている?
森川:マスクやボンテージなどフェティッシュなアイテムの中に、般若っぽい顔型や唐草模様といった日本的なデザインを取り入れることを意識しました。ただ、ブランドの色を押し出すというよりは、役柄一人一人のパーソナリティーを表現することにフォーカスしています。
WWD:アニメや漫画からコレクションのインスピレーションを得ることは?
森川:以前、コレクションショーの音楽に「AKIRA」の音楽を使ったことがあります。アニメが好きなので、インスピレーションを受けることは多いです。