繊維商社の帝人フロンティアはタイと中国、日本で高機能素材の開発を強化する。同社は4月に帝人グループ内の再編で、高機能ポリエステル繊維事業の移管を受け、タイの2工場と日本の松山工場を本体から譲受していた。同社はスポーツファブリックを主体としたテキスタイル事業とアパレルOEM(相手先ブランド生産)を2本柱にしてきたが、高機能糸からテキスタイル、製品までの一貫型のバリューチェーン戦略を構築する。日光信二・帝人グループ常務執行役員兼帝人フロンティア社長は「現時点ではタイの2工場は競争力があるとは思っていない。市場のニーズに立脚した高機能化に向け、設備投資を行い、グループでのシナジーを高めたい」と語った。
帝人フロンティアを中核にした帝人グループの繊維・製品事業グループは新型ストレッチ繊維「ソロテックス」、スポーツファブリック「デルタ」のほか、郊外の紳士服チェーン向けのアパレルOEMなどを主力事業にしており、高機能ポリエステル事業の移管を受けた後の2018年3月期には売上高3300億円になり、繊維商社としては最大規模になる。日光常務執行役員は「戦略素材である『ソロテックス』と『デルタ』は高機能化を求めるウェアのトレンドによって、前年比2〜3割増で拡大している。特に『ソロテックス』は100%使いにこだわらず、天然繊維をミックスし、新しいストレッチ素材の開発につながったことが、素材の広がりを後押ししている」と指摘。新たに移管を受けるタイの工場でも、こうしたノウハウを生かすことで、収益化を徹底する。