ニトリ(NITORI)は6月30日、「ニトリ渋谷公園通り店(以下、渋谷店)」をオープンし、記者会見を同店隣のシダックス・カルチャービレッジで行った。シダックスビレッジ跡にオープンしたニトリ渋谷は9層約4990平方メートルで山手線沿線では最大だ。
会見で似鳥昭雄ニトリ会長兼CEOは「わが社が持っているノウハウを出し切った店舗。20~30代の若い層の気持ちをつかむ品ぞろえやコーディネート提案に力を入れた」と言う。ニトリは2015年から都心への出店を加速しており、新宿タカシマヤタイムズスクエア店(以下、新宿店)や目黒アトレ店など、渋谷近辺にも店舗がある。カニバリゼーションに関して同会長兼CEOは、「東京は人口が多いのでカニばっても当然。新宿店は上顧客が多く、対応が間に合っていない状況だ。渋谷店ができたことで、新宿店の混雑が減り、買い物がしやすくなるはずだ」と話す。
今年は50店開店予定。山手線沿線出店も継続して検討し、名古屋や大阪にも新店舗をオープンする予定だ。海外では中国に年内、14~15店舗開く予定。中国はニトリのようなビジネス・フォーマットがなく、既存店の売り上げは2桁増だ。都市圏以外の戦略に関しては、「創業以来、郊外中心に出店してきた。出店の余地はもうないと言いつつも出店数は毎年更新している。人口5万人前後という人口の少ない場所にも出店し、予想以上の売り上げを上げている。まだ、国内で数百店は出店できると思う」と似鳥会長兼CEO。ニトリは“一番近くのホームファッション・ストア”がコンセプトの小型店である「デコホーム」業態も展開しており、それを合わせると国内1000店舗の可能性もあるという。
渋谷店の大家である志太勤一シダックス会長兼社長は、ニトリをテナントに選んだ理由を「異業種とは言え、ニトリもシダックスも“人々の暮らしを豊かに”という共通の志がある。渋谷にはない新しい業態だと思い、一緒に渋谷に新風を吹かせたい」と述べた。