百貨店大手5社の6月販売は、全社が前年同月の実績を上回った。三越伊勢丹が前年同期比1.1%増、高島屋が同4.9%増、大丸松坂屋百貨店が同5.1%増、そごう・西武が同1.4%増、阪急阪神百貨店が同4.6%増だった。高島屋、大丸松坂屋、そごう・西武の3社は夏のクリアランスセールを前年の7月1日から今年は6月30日に前倒ししているが、「その効果を差し引いてもプラス」(髙島屋、大丸松坂屋)だったという。引き続きインバウンド(訪日客)が急回復していることに加え、株高で富裕層によるラグジュアリー・ブランドや宝飾・時計の購買が活発になっている。
インバウンドによる免税売上高は、三越伊勢丹が12%増、高島屋が37%増、大丸松坂屋が47%増、阪急阪神が約50%増。関西に主力店を持つ百貨店が恩恵を受けており、“西高東低”の構図になっている。店舗売上高でも高島屋大阪店が10.7%増、大丸心斎橋店が15.9%増、阪急本店(阪急うめだ本店と阪急メンズ大阪)が7.7%増と訪日客のかさ上げ効果が大きい。
株高を背景に国内富裕層の消費も戻ってきた。三越伊勢丹ホールディングスでは首都圏以外の店舗でも宝飾・時計やラグジュアリー・ブランドの購買が活発で、札幌、名古屋、福岡などを含めたグループ合計の売上高もプラスに転じた。高島屋は特選が9.8%増、大丸松坂屋はラグジュアリー・ブランドが13.4%増、阪急阪神の阪急うめだ本店はジュエリーが53%増、時計が42%増と急伸。インバウンドの寄与もあるが、それ以上に株高による資産効果が顕著と各社は口をそろえる。
衣料品はセールの日程で差が出た。例年通り7月中旬に開始する三越伊勢丹が基幹3店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)で微弱だったのに対し、1日とはいえセールを6月に前倒しした高島屋は婦人服で5.5%増、紳士服で1.7%増、大丸松坂屋は婦人服で4.7%増、そごう・西武は婦人服で微増だった。全国的に雨の少ない空梅雨で天候には恵まれたものの、「お客さまはやはり価格に敏感」(そごう・西武)、「価格志向は根強い」(大丸松坂屋)と各社は慎重に見ている。