サステナビリティ

日本発 昆布のヌルヌル成分で作った糸が商業化へ

 昆布などの海藻の主成分であるアルギン酸の専業メーカー、キミカ(千葉県、笠原文善・社長)は日本で初めて、アルギン酸を原料にした紡績糸の開発に成功した。アルギン酸は海藻から抽出する天然の水溶性植物繊維で、これまでは食品添加物や化粧品、捺染プリント用のりの原料として使用されてきた。食品添加剤に使用できるほどの安全性や、最大でコットンの2倍以上の吸水性などがあることから、新タイプの“バイオファイバー”として注目を浴びそうだ。

 アルギン酸は海藻のヌルヌル成分で、キミカは海藻の調達からアルギン酸の抽出、重合、加工までを一貫して手掛け、国内シェアで8割、世界でもトップ3に入る。キミカはこれまでアイスクリームやパンの添加剤などに使われてきた水溶性のアルギン酸ナトリウムに特殊な加工を加えることで、強度の高い糸を作ることに成功。中堅紡績メーカーの長谷虎などと共同で試験を繰り返し、衣料向けにも使用できる紡績糸の開発に成功した。天然由来の成分であることや吸水性の高さを生かし、肌着や靴下などでの実用化を探る。繊維産地の群馬県・桐生の糸商である川村などと協力し、現在は染色堅牢度などの試験を行っている。

 アルギン酸を使った繊維については、数年前にドイツのレーヨンメーカーのケルハイム・ファイバーズなども政府の研究機関と連携して、医療用途での商品化を進めていた。

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