ヨーロッパを拠点に活動するプロダクト・空間デザイナーの三宅有洋が新作照明“コッペリア”の発表会で来日した。三宅はオランダ発インテリア・ブランド「モーイ(MOOOI)」が認めた初の日本人デザイナー。発表会で行われたトークショーで、開発時のエピソードやデザイナーに必要な資質などについて語った。
三宅は、「僕がここにいるのは、マルセル・ワンダース(Marcel Wanders)とキャスパー・フィッサス(Casper Vissers)のお陰。彼らに出会わなかったら、全く違ったデザイナー人生になっていたと思う」と語る。
マルセルとキャスパーは「モーイ」の共同設立者。三宅は、毎春ミラノで開催される家具見本市の一つで若手中心の発表を行う「サローネサテリテ(SALONE SATELLITE)」に2009年出展したところ、2人に出会い、照明をデザインすることになった。「モーイ」と言えば、家具だけでなく“レイモンド”などアイコニックな照明でも知られている。三宅は「今までは照明の傘をデザインするのが仕事だったが、LEDは光源からデザインできる。今までにない事ができるチャンスだ。『モーイ』の照明の方向性を考えた上、有洋バージョンを作ろうと思った」と言う。
彼がデザインした“コッペリア”は軽やかに舞うプリマドンナがイメージソース。通常のシャンデリアとは全く異なるモダンで軽快な印象だ。「ヨーロッパに拠点を移して17年。PCの普及で仕事の仕方が随分変わった。スケッチも手描きというよりは全てPCに数字を打ち込まなければならない。でも、マルセルとのやりとりは、いつも、手描きのスケッチから始まる。酔っ払って描いたスケッチから3年かかって商品化できた」と笑う。