毎年恒例になっている「H&M」のデザイナー・コラボレーションの今年度のパートナーが発表されました。2004年のカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)に始まり、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」や「ランバン(LANVIN)」「マルニ(MARNI)」「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」「メゾン マルタン マルジェラ(MAISON MARTIN MARGIELA、現メゾン マルジェラ)」「ヴェルサーチ(VERSACE)」「アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)」「バルマン(BALMAIN)」「ケンゾー(KENZO)」など錚々たるブランドやデザイナーとコラボしてきましたが、今年選ばれたのはロンドンを拠点にするウィメンズウエアブランドの「アーデム(ERDEM)」です。正直なところ、これまでのコラボブランドに比べると日本での知名度は低く、「え?」と思った方もいるでしょう。ですが、「アーデム」はロンドン・ファッション・ウイークをけん引するブランドの一つで、「WWDジャパン」が17-18年秋冬トレンドとして打ち出した“艶っぽいエレガンス”をまさに体現しているブランドでもあります。なので、ここでは「アーデム」とはどんなブランドかをご紹介したいと思います。
「アーデム」を手掛けているのは、カナダ・モントリオール出身のアーデム・モラリオグル(Erdem Moralioglu)。トルコ人の父とイギリス人の母の間に生まれた彼は、ロンドンの王立美術大学で修士課程を修了後、ニューヨークの「ダイアン フォン ファステンバーグ(DIANE VON FURSTENBERG)」で経験を積み、05年にロンドンで自身のブランドを設立しました。06-07年秋冬から英国ファッション協議会(BFC)の若手支援プログラム「ニュージェン(NEWGEN)」にも選ばれ、10年にはBFC / ヴォーグ・デザイナー・ファッション基金を獲得。さらに、12年から4年連続で英国ファッション・アワードのさまざまな賞を受賞している実力派なのです。
そんな彼が得意とするのは、ロマンチックな世界観を表現したドレス。ノスタルジックな花柄などのプリント生地やジャカード、レース、繊細な刺しゅうなどが特徴で、レッドカーペットでも支持されています。手仕事を駆使しているため、コレクションピースは高価ですが、「H&M」とのコラボでは手の込んだアイテムも買いやすい価格で提案されるはず。どのくらい「アーデム」のエッセンスが再現されるか注目です。それに、コラボではブランド初のメンズも登場するので、個人的にも楽しみにしています。